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    スバあん

    ざざーん、さらさらさら。
    ざざーん、さらさらさら。
    月に照らされ、よせては返す波を一人で静かに見つめている。

    これまでの仕事で蓄積しきった疲労を少しでも和らげるべく一時的にP機関を離れ、この島に1人で滞在している。
    今の状況を知るのは上層部のごく僅かな人間のみだ。ESのアイドルたちはもちろん知らないし、私が知られることを望まなかったためこのような対応となった。

    (けれど、今も心のどこかには焦りがあって。)
    (その焦りを減らすため、ここまで来たのに。)
    と、現実を受け入れては片隅に不安が募っている。
    もう少しだけ、肩肘を張らないようにと誰もいない砂浜に、着の身着のまま何も敷くことなく、そのまま寝っ転がった。

    家族と行った海水浴でも当たり前のようにレジャーシートを敷いたから、こんなことをするのは初めてだ。
    知らないことを知る時、見たことのないものを見た時、やったことのないことをやる時。
    そんな時に人が感動する、というのもなんとなく分かる気がした。

    波の音と、夜空をただただぼうっと眺める。
    あの頃に見ていた星々とは違う、本当の星たちが細やかに美しく煌めき、瞬いていた。
    少しずつ気持ちが落ち着いてきたので、ゆっくりと瞼を閉じた。
    ほんのりと香る潮風と波の音が心地よくて、このまま寝てしまいたいなんて思った。

    眠るか起きるかという瀬戸際の曖昧な感覚に浸っていると、ざくざくと砂を踏む足音が徐々に近づいてきた。
    この時間に海へ来るということは大体島の人だろうと思い、もう少しだけ瞼は閉じたままでいることにした。
    もし声をかけられたら起きるつもりだし、最悪私が生きていることさえ証明できれば何ら問題ないはず、なんて考えていた。

    「あれ……寝ちゃったのかな」
    私が一番よく聴いた人の声がして、驚いて目を開くと声の主がいた。
    自暴自棄にも見てとれそうな状態で寝っ転がっる私を覗き込むのは間違いなく明星スバルくんその人だった。

    「えっ、すっ、スバル、くん!?……な、なんでこんなところに…………?も、もしかしてロケで、とか?」
    私が驚いて起き上がると、綺麗にぶつからないよう避けたスバルくんがそのまま隣へ座った。
    「ん〜……残念!ここに来たのはロケじゃないよ。何かの撮影でもなければ、明日はオフ!」
    「あ……そ、そう、なんだ……」
    それならばなぜ、誰も知らないはずのこんなところまで来たのか、咄嗟にそう尋ねられず何も言わない私たち二人と波の音だけが聞こえる時間が過ぎる。

    「ここは空も海もきれいだよね〜」
    いつもみたいな元気いっぱいで明るい雰囲気とは打って変わって落ち着いてゆっくりと話すスバルくんは満天の星空を眺めていた。
    「そうだね……すごく、きれいで……ずっと見ちゃってた」
    「あんずはここでゆっくりできてる?」
    「え……」
    スバルくんは私がここにいる理由を知っている、のだろうか。

    ここで詰みました。
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