お留守番 兵助が、今日から実家に帰る。
同棲の解消……なんて危うい理由ではなく、実家の方で区画整理があるようで、そのためにお手伝いが必要らしい。期間は3日ほど。久々の帰省なんだからもう少しゆっくりしてこれば良いのに、仕事の折り合いをつけた上でそんなものらしい。
それでも久々の帰省だからと、兵助は駅で持てるだけのお土産を買っていた。わざわざ駅まで送ってくれなくても良いのに、と兵助は口では言いつつも嬉しそうだった。
「じゃあ、気をつけてな。少しはゆっくりできるといいな」
「うん。ありがとう。八左ヱ門も羽を伸ばせよ」
改札を潜って、また振り向いた兵助はもう一度とばかりに八左ヱ門に手を一振りし、ホームへ歩いて行った。八左ヱ門も手を振り返しながら見送って、少し寂しい気持ちになる。
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