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    ひとねむり

    竹くく 勘くく
    小説

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    ひとねむり

    DONE🎋📛
    室町 女装して女の子と張り合うくくちくん
    女装 始まりは、八左ヱ門が村の娘を助けたことだった。

     荷運びをしていた最中なのだろう、荷物が辺りに散らばっていてその横に娘が転がるように座していた。足を挫いただろうことが一目瞭然な状況に、八左ヱ門は少し迷った後、手を貸した。最初は不審そうに、なんなら迷惑そうにしていた娘だったが、自分では動くに動けず困っていたのも確かで、結局八左ヱ門の手助けを受けた。最初は淡白だった娘の受け答えも、歩みが進んで行くうちに本来の性格が出てきて、活発で明るい表情になって楽しげな会話を交わしてくれた。家まで送って去ろうとする八左ヱ門を引き止め、最後にはお礼を申し出るくらい気を許してくれた。
     断れないまま受けたお礼は、また別のお礼になる。会うきっかけとなる。八左ヱ門もお礼を返した。そうしたらまたお礼返しになる。やめ時がなくなる。断ることも難しかった。積極的な娘は押しが強かった。娘の魂胆が分かったところで、あくまでお礼の体裁を取る娘は断るとしおらしく振る舞って、八左ヱ門の罪悪を突く。くのいちじゃなくても女は駆け引きがうまいなぁ、と感心してしまうし、それでもいつまでもこの魂胆に乗ってもいられない。けど、うまく断れなくて!!
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    ひとねむり

    DONE竹くく 室町
    久々知くんが護衛先の娘さんに気に入られちゃった話
    護衛任務「兵助、帰ってこないの?」

     己の口調から滲む不機嫌さは、これでも抑えたつもりなのに全然隠しきれていなくて、余計に不機嫌な気持ちになってしまう。勘右衛門は肩を竦めて「ご覧の通り」と少し笑う。そこにいるのは、勘右衛門一人。見たまんまの状況。つまり、兵助は帰ってきていない。まだ、任務の最中なのだ。
     それが、八左ヱ門は気に食わない。

     武家の姫さんが良からぬ輩に狙われているので護衛を頼みたい。
    い組がその任務に選ばれたのは、ただ都合よく身が空いていて、内容もちょうど良かったからだ。年頃の姫さんという対象に、いささか色めき立った者もいれば、高貴な血筋らしい身分に気後れする者もいたりと、様々な反応だったらしい中でも、八左ヱ門が「いってらっしゃい。気をつけて」と送り出した兵助は平素と変わりのない態度だった。むしろ、どちらかと言えば、前日に逢瀬の際に「しばらく会えなくなるなぁ」と呟いた消沈した声と、詫びしげな顔ばかりが残っている。二人だけの時に見せる顔は、日が昇ればすっかりと引っ込んで、切り替わる潔さと任務に据える心意気は、八左ヱ門が好ましいと思う兵助の一面でもある。だから、頑張れよ、と送り出した。あの時は本気で、本当にそう思っていた。
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