その眩しさは「先生方は怖いもの、ありますか?」
夕食も終わり、一息ついた頃。
なんてことのない雑談が心霊番組へ視線を向けていた医師二人へ向けられた。
一也から不意に疑問を投げかけられ、手元の麦茶をぐいと飲み干した富永が口を開く。
「事故、急患、急変、増悪……」
「大雨、猛暑、台風、大雪……」
「す、すみません。……そういうのではなくて」
医師として聞きたくないワードをあげつらう富永に、成程と言いたげな表情で神代が続ける。悪乗りのようにも思えるやりとりだが、神妙な顔つきで呟く医師二人に一也は慌てて訂正をした。
「ごめんごめん、苦手なものとかそういう類のものだよね?」
「ム……」
意図を正しく理解した富永が、机の上で汗をかいていた麦茶ポットをグラスに傾けながら答えると、それに合点の言った様子の神代が口元に手を当て長考の構えに入る。
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