LAST WISH ──最後の伝言── 初夏の風が木々の葉を揺らし、さやさやと音を立てている。そんな戸外の様子を、チチは窓からぼんやりと眺めていた。
まだ本調子に戻り切らない身体をソファーに埋もれさせながら。今は亡き人のことを想いながら。
悟空の死から、早や半年以上の時間が過ぎていた。
もう悟空を想うとき、彼女の心に哀しみはない。その代わりに、懐かしさと愛しさによって満たされていくのが彼女自身にもわかる。
しかし、こう想えるようになるまでに、一体どれくらいの涙を流したことだろう──。
* * *
悟空の死を悟飯から聞かされた瞬間、チチの頭の中は真っ白になった。
「……うそだろ? 悟飯ちゃん……何、嘘言ってるんだ……? 悟空さが死んだなんて、そんなバカなこと……」
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