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    百合菜

    遙かやアンジェで字書きをしています。
    ときどきスタマイ。
    キャラクター紹介ひとりめのキャラにはまりがち。

    こちらでは、完成した話のほか、書きかけの話、連載途中の話、供養の話、進捗なども掲載しております。
    少しでもお楽しみいただけると幸いです。

    ※カップリング・話ごとにタグをつけていますので、よろしければご利用ください

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    POIPOI 72

    百合菜

    PAST遙か1・頼あか。
    「名前で呼んで」

    出会ったばかりのあかねと頼久の話。
    「源頼久と申します」

    そう名乗りながらあかねの目の前に現れたのは、自分より頭ひとつ分違う身長に、鍛え上げられた体躯を持つ少し年上と思われる男性の姿だった。
    見慣れない装束、そして腰に差しているのは刀なのであろうか。
    これらを見ていると、やはり自分はどこか見知らぬ場所に連れてこられたという事実が現実のものとして迫ってくる。

    だけど、何が起こったのか、自分はどうすれば元の世界に帰ることができるのか、見当がつかなかった。
    リュウジンノミコとして召喚されたらしいが、普通の高校生である自分にそんな役割が任せられただなんて信じられない。
    この先、どうするべきか誰かに聞いておきたかった。

    「あの…… 源さん、でしたっけ?」

    武骨そうに見え、むしろ寡黙に見える。
    しかし、その瞳は嘘偽りがないということを信じることができる。
    初めて会ったのに、あかねはなぜか目の前の男性のことを信じることができた。
    すると、

    「み、神子殿……!」

    目の前の頼久と名乗る男性がうろたえているのが目に入る。

    「どうしたのですか? 源さん」

    そう、問いかけるあかねに対し、頼久は困ったように髪をかきあげる。

    「で 1575

    百合菜

    PAST遙か1・頼あか。

    2018年のバレンタイン創作。
    「頼久さん、これあげる」

    そう言ってあかねが手渡したのは丁寧にラッピングされた小さな箱。
    そのときのあかねの様子が頬を赤らめていてかわいいと思いつつも、ありがたく頼久は受け取る。

    今日は2月14日。
    いたって普通の平日のはずだが、あかねは前もって頼久にデートの約束を取りつけてきた。
    龍神のいたずらで現代の世界において就くことになった仕事はあるが、幸い、水曜日のため、早めに帰っても咎められない空気だった。
    そして、冒頭に至る。

    「開けてもいいですか?」

    あかねがこっくり頷くのを確認してから頼久は包装紙を丁寧にはがす。
    中から現れたのは茶色の固まり。
    ―確かちょこれーと、とか言ったはず。
    少し前にあかねに教えてもらった知識と目の前の物体が同じものであることを確認する。
    確か甘い味がするため、そんなに好みではなかった。
    そして、あかねもそのことを知っていたはず。
    しかし、わざわざそれを渡してくること、そしてそれを渡してくるのに、頬を赤らめる理由がわからなかった。

    「今日はバレンタインだから」

    「ばれんたいん、ですか?」

    聞き慣れぬ言葉を繰り返して尋ねる。
    少し前からあちこちで耳 1881