猫が一人 うちの庭にはよく猫がやってくる。一匹でやってきて、我が物顔でくつろいでいるのだ。青色の目がとても綺麗。首輪をしていないから野良猫だと思う。
触ろうとするとどこかに逃げてしまうし、餌をあげてみても一切食べない。猫は一定距離を空けたままこちらを観察するように見ているだけだった。
何としても、懐いてほしい……! あわよくばうちの子になってくれないだろうか。
けれど数ヶ月の間試行錯誤を繰り返し、雪の降る季節になった頃――猫はぱたりと庭に現れなくなってしまった。
(もしかして野良猫じゃなかったのかな……)
現れなくなった理由を前向きに捉えるなら、寒くなってきたから外には出ず自分の家にいるということ。
(けど、野良猫だったら)
1999