★嫌いな香り①★――――――
その日を特別に思っているわけではないし
体の関係を迫り悉く拒絶されるのはいつものこと。
同じ家で暮らしているのだから別にいつでも良い。
けれどふと思った。
角都にはそれらしい理由が必要だ。
なんでも良いから許してもいいと思える言い訳としては《誕生日》というのはちょうど良いのではないか。
帰りが明け方になることも別に珍しくはないのにその日は何故か帰ってくるものとばかり思っていた。
喜びはしないと思いながらコンビニでケーキやらチキンやらを買い込んで、あわよくば飲ませてやろうと酒も買った。
粋な贈り物など思いつかないからいつも咥えている煙草を1カートン。
夜、帰ってきてテーブルを見たら嫌な顔をするのだろうと思うと何だか可笑しくなって一人でニヤニヤしながら待っていると固定電話が鳴った。
3540