訓練場に吹き荒れる上昇気流はいつもより心做しか猛々しく、小屋の屋根をガタガタと揺らしている。
桟橋の先では粉雪が竜巻のように舞い上がっては落ちるを繰り返していて、数時間前の機械仕掛けの巨鳥との激闘をテバの脳裏に思い起こさせた。
「――――」
空を見上げる。
上空には未だ大きな鳥のバケモノが悠々と翼を広げていた。今、リンクはあの内部にいる筈だが……。
「――あいつ、大丈夫だろうか」
「貴方はまずご自分の心配をなさってはどうですか?」
知らず口をついて出た言葉に涼やかな鈴のような声が返ってくる。
「痛ぇっ!」
同時に左脚の傷に巻かれ始めた包帯を急にギリと締めあげられ、テバは思わず大きく呻いた。
「……おい、サキ。少しは加減してくれないか。治る怪我もこれでは悪くなるだろう」
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