Good morning,Good night.【ニコセイ】1.
別れはあまりにも突然だった。ニューミリオンの街から太陽が消え、イクリプスの活動が突如活発化した。そして街に住む人々からの信頼すらもその姿を変えた。『ヒーロー』と拒むものたちは増え、遠ざける声が日に日に強くなっていった。サウスセクターに所属し、自らも『ヒーロー』でありながらこのニューミリオンの街と『ヒーロー』を愛するセイジ・スカイフォールはこの違和感まみれの街を憂い、奔走した。
事態は収束し、太陽も市民たちからの信頼もすべてが戻った。しかしセイジにとってそれは日常だといえるものでなかった。大切な存在を失ったのだ。あまつさえ、自身に刻まれた記憶はすべて偽りで、自分が信じてきたものはすべてこの世界にはないものだったのだ。ニューミリオンの街に、『ヒーロー』にあこがれて、自らの意思でこの街を訪れたはずのセイジは、セントラルの往来の中でロビン・グッドウェザーによって助けられ共に過ごす中で自らも『ヒーロー』を志したはずだった。それは作られた記憶であり、現実は暗く深い海の底からロビンの手によって救い上げられたのだ。その罪を贖うためにロビンは命を奪われ、罪のない市民やリヒトの人生を理不尽に奪った。それは消えない事実で、セイジの枷となっていた。
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