かきかけの昂衛暗闇の中で優しい光がゆらり、と揺れた。
隣にあったはずのその光は気づくと、手の届かない場所で気ままに舞っている。
手を伸ばしてみるが、光はそれを気に留めることも無く自由にゆらゆらと揺れていた。それを俺は穏やかな気持ちでみまもる。
かと思えば遥か遠くに飛んでゆき、二度と戻ってくることはなかった。
嫌な汗をかき、呼吸を乱しながら柔らかなシーツから跳ね上がる。
隣を必死に探れば、温かな体温とすやすやと寝息をたてる愛しい男がいた。それを確認し、安堵の息を漏らす。
その男の手を優しく包み込むと、ふたたび眠りについた。
カーテンの隙間から零れたひかりに起こされ、衛は目を覚ます。
なんでも完璧にこなす年下の彼は、完璧に見えて朝が苦手だった。人よりは強い方だとは思うが、眠りの浅い自分から見ればそんな所も可愛いところであった。
そんな彼を見つめ、幸せな時間を過ごそうと顔を覗き込めば、彼の寝顔は苦悶に満ちていた。
よく見れば手はいつの間にか握られており、心做しか額に汗を浮かべていた。
嫌な夢を見ているのだろうか、空いている手でそっと額を撫でると少しばかり皺が薄くなる。
そうだ、疲れているならー
そっとベッドから降り、寝室を後にした。
優しい温度がふっと消え、昴輝は目を覚ます。
眠たい瞼を必死に開けるとそこに先程まであったはずの光がいなくなっていた。
「まもる、まもる……!」
上手く回らない口でその名を必死に呼ぶ。
「どこだ、まもる……まもる」