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    okeano413

    @okeano413

    別カプは別時空

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    DONE甲操 ゆわひのあいらし二話2021.04.05

     ひと月前に合格をもらってから、閉店後に表の黒板を書き換えるのは僕の役割だ。初めて書いた文字を「かわいいな」と言われたのがなんでかやけに悔しくて、咲良に頼み込んで字の書き方を教わり始めたのはふた月ほど前のこと。ペンの持ち方から叩き込まれる特訓はすごく厳しかったけれど、細かく用意してくれた目標を達成するたび、うんと優しく褒めてくれる彼女のおかげで、楽園海神島店での役割を一つ増やしてもらえた。それも、真っ先に見てもらえる場所を文字で飾る大役を。出来ることが増えるのは、それを認めて褒めてもらえるのは、いつだってたまらなく嬉しい。
    『アンタ、筋がいいわよ。覚えたいって気持ちが強いからかしらね。もう少し丁寧に書けたらハナマルもあげられるんだけど』
     そんなふうにあれこれ言いながら、ちょっと強引に髪をぐしゃぐしゃにしていく、白くて、細くて、指輪の痕がくっきりと残る手から教わった文字を、今日も慎重に書き進めている。情報を得ても、知っているだけで実行しないのと、いざ自分の手でアウトプットするのは全然違う。学ぶこと。学んで、僕以外のひとに伝わるよう、実行すること。様々なことを、心 3775

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    DONE甲操 小春の奏
    飾り付け方がわからないので覚えたての文字を書いた
    2020.12.31

     扉を開く。手放されたボウルが直下する。中身があたりに散らばって、短い悲鳴と金属音が重なった。コメディかのような流れだが、ツッコミ役は誰もいない。無言の間でぐるぐる回るボウルだけが騒がしい。
     今日は月に二度の定休日だ。一騎からは総士の要求に応える為にあの子から離れないと聞いていた。俺も調整の為にアルヴィスへ赴いていたから、キッチンを惨状にする男は一人しかいない。待機場所兼自宅ではなく楽園の厨房を選ぶくらいには考えたらしかったが、どうにも間が悪かった。俺にとってはよかったが。縦結びのエプロン姿が嬉しくないはずはない。
    「……出直そうか?」
    「いいようもう……早かったね……」
     ああ、生クリームだらけの手で顔を隠してしまった。俺の名前が書いてある、いびつなパンケーキらしきものを飾り付けて仕上げだったんだろう。手先はだいぶ器用になったが、こういうアドリブはどうにも弱いままだ。
    「他の家でこっそりやればよかったのに」
    「ここで作りたかったの。ここに思い出を増やしたくて、それで」
     指の隙間から覗く瞳にちゃんと嬉しいと伝わるように笑いかけてやると、諦めて手を離した。そこ 616

    okeano413

    DONE甲操 ゆわひのあいらし2020.11.21

     困った。一体どうしたものか。ウンウン唸れども解決策は湧いてこない。なにせ悩みの原因は理解していても、今すぐどうこうできるたぐいのものではないからだ。
     悩みの原因である、接客に勤しむ甲洋の後頭部でやたらと硬そうに光るもの。バレッタという名前らしい。開店寸前に最後のヘアゴムをだめにして困っていた甲洋へ、彗と朝食デートにやってきた里奈があたしはもう使わないからあげますよと与えたものだ。波模様の黒いやつ。(なんで持ってるのと聞いたら、オンナには秘密があるものよって誤魔化された)無理やり引き剥がせば怒られるに決まっているので、だんまり階段の踊り場に座り込んだまま、ふわふわ揺れる茶色を縛り付ける留め具を睨む。
     普段の一つ結びと比べれば首にかかる髪は多いし、半端にまとめるものにしか見えないのに、どこからか聞き付けたらしい客が増えているのもなんだか気に入らない。
     さて、本題を言おう。僕は今、無性にあのふわふわへ顔を埋めたかった。真剣な悩みだ。バレッタさえ無ければ、今が営業時間でさえなければ飛び付いてやれるのに。澄まし顔で注文を捌いている甲洋が毎晩僕の髪にもふ、と顔をうず 1225