2021.11.24
布をまとえば朝が来る。カーテンも開かずの薄暗闇でフリルを整えられるくらいには、このお洋服とも付き合いが長くなった。
「おはよう。今日はなにして過ごす?」
音も立てずに用向きを探しに来る主人の声に、またかと呆れるのも慣れたものだ。そのうち、呆れてやるのも諦めるだろうか。囲うように匿われるのも、人懐っこく遠慮のないのと付き合うのも初めてなものだから、先の予想がつかない。
「……ノックをしろと教えたのはあなたでしょう。早くから末端を構っている場合ですか?」
昨夜眠る前に、なにやら所用を片付けるのが面倒だとぼやいていたはずだが。振り返ると、着せさせられた裾の広い細かな装飾の施されたネグリジェから着替えもせず、先程まで俺のいたベッドに寝転んでいる。
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