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    okeano413

    @okeano413

    別カプは別時空

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    okeano413

    DONE甲操 ぬくもりから消えていく※いなくなる話




    「ここでいいよ。降ろしてくれ、来主」
     一人で歩きたがる甲洋を強引に抱き上げて辿り着いたのは、海岸近くの何もない場所だった。成長し続けているきれいなアショーカの幹を眺められるし、人の営みの灯火を遠くに感じられる、良い場所だ。でも、なにもない。大きな樹も、花畑も、照らしてくれる灯台も。甲洋と一緒にいてくれるものが、なんにもない場所なのに。
     こんな日が来ることを、甲洋はとっくに覚悟していたのかもしれない。もしも、幸運が重なって戦場以外で眠ることができるなら。もっと運が良くて、守りたい人々のいる島でいなくなれるなら……そんな日の為に、自分が最期にいたい場所を見つけて、悟られないように、心の部屋に隠していたんだろう。悲しませない為の準備を悟らせようとない、ずるい男だから。
    「来主。降ろして」
     もう一度、安心させてくれる時と同じ優しい声で促されて、いやなのに、従ってしまった。もう、僕の手を掴まなければ立てないくせに。僕に攫われてしまえば、楽になれるはずなのに。無理に持ち上げられた格好のまま降ろされて脚を伸ばす。まわりをぺたぺたと触って確認する姿は無邪気でさえある。これ 1713