まだ見せられないもの 不意に意識が浮上した。室内は暗い。まだ目覚めるには早すぎる時間なことは、時間を確認しなくたってわかる。どうしてこんなタイミングで意識が覚醒したか。原因はすぐに分かった。リビングから人の気配がする。
アニはベッドから出ると、リビングへ向かった。薄暗い廊下を抜けドアを開ける。そうすると、見えたのは同棲中の恋人の姿。風呂はすませたらしく、寝間着を着ている。アニが気付くより前に帰宅していたようだ。
アルミンはアニに気付くと、優しく微笑んだ。その顔には疲れが見える。
「起こしちゃったかな。ごめんね」
「……おかえり」
研究が大詰めだとかで、泊まり込みで帰ってこない日が続いていた。この場所で彼を見るのは酷く久しぶりな気がする。
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