交際まで秒読みと思ってたら面会謝絶を突きつけられた社長が頑張る話 絶対に負けたくないと思う恋はこれが初めてだった。明確なライバルがいるわけではない。けれど、どうしたって恋人になりたくて、誰にも譲りたくなかった。
だから、僕のありったけの慎重さでモモとの仲を進展させた。オフで会うときはモモのペースに合わせて、少しずつ距離を縮めて。ゲームではいつも通りに接して、モモがリラックスして話せるように。オンとオフでの差をなくしていけるように、バランスを見極めて逢瀬を重ねた。
顔を合わせたばかりのうちは委縮していたモモも、だんだんと肩の力が抜けて、ちゃんと隣を歩いてくれるようになった。僕を見る視線に甘さが混じりだして、見つめ返せばはにかんでくれた。
いける。次のデートは夜にして、雰囲気の良い場所に連れて行って想いを伝えよう。そう勝利の確信を抱いた矢先だった。
3444