19 鍾魈予定に予定が重なって、その日の鍾離は久しぶりに多忙な一日を送っていた。往生堂での打ち合わせから始まり、商人たちとの情報交換や素材採取、そして旅人から引き受けた依頼がダメ押しとなり、さすがに表に疲労が滲み出てしまったようで、心配した旅人が洞天での休憩を勧めてくれた。
その言葉に甘えることにして、用意された部屋で茶を淹れようと茶器に手を伸ばすも、今すぐ横になりたい欲求が色濃く出て、嘆息してからベッドに横になる。普段からあまり疲労が溜まらないよう管理しているつもりだが、油断していたのかもしれない。凡人になってからというもの、神であった頃とは背負う責任の重さが違って、なんでも気軽に手を付けてしまう癖がついたせいで、最近は以前より睡眠時間も減っていた。今回の疲れも原因はちょっとした睡眠不足だろうと踏み、人間よりは頑丈で体力もあると自負はしているが、あまり酷使するのも良くなかったと一人反省する。
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