小話『いらっしゃい』
「やぁ、少しだけ時間いいかい?」
『ここは日本語が話せる人間のみご利用可能な店なので、お引取りを』
『少ししか話せないけど、それでもいいかい?』
『チッ……!』
これだからスペックの高い人間は。そう言って舌打ちした夏樹を困ったように見ながらスティーブンは1枚の紙を夏樹に見せた。
「エンジェルスケイル……超高度の術式合成された麻薬に何の御用で?」
「!、知っているって言うことは出処も?」
「まぁ。確かこの間HLの外にも流通されたやつだろ?えっ、何、今更これ追ってんの?」
「今更?」
「これ随分前からある術式合成麻薬じゃん」
そう言って表のドアにぶら下がっているオープンの看板をクローズへと変更し、夏樹は念の為に鍵をかけた。どうせ話が長くだろうな、なんて思っていなくとも目に見えているというものだ。
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