「ネロ、ブラッドリーはどこですか」
「えぇ……知らねえよ…来てねえんならサボりじゃねぇの」
幼い頃やまだチームにいて連んでいた頃ならまだしも、今はもう、ネロはチームを抜けて、だからこそブラッドリーからも離れようとしている。
真っ当になりたい。
日々ケンカばかりしてそれが何になるというのだ。
怪我ばかりこさえて、それでも楽しそうに笑って、悔しそうに顔を歪めて。あんなにも騒々しくて目まぐるしい日々をネロには生きていくことがもうできない。
ふぅん、と聞いてきたわりに興味のない返事を返したミスラはネロの腕を引っ張り上げた。
「じゃあ、あなたでいいです」
「はっ!?」
がたん、と衝撃で倒れた椅子はそのままに、というかこちらの声も無視してズカズカと進んでいくものだから並んだ机のあちらこちらに体をぶつけた。その端正な容姿からモデルもやっているというミスラの歩幅に当然ネロが追いつけるはずもなく、若干足をもつれさせながら腕を引かれるままに着いていく。
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