【よだつか】夜鷹純の困惑 夜鷹純は、非常に困惑していた。
中学生の明浦路司を見つけたら、表向きのコーチとしての役割はすべて高峰先生に押し付けて、光相手にしていたように、たまに僕が見本を見せてやればいい、と漠然と考えていた。
そもそも、僕は他人や血が繋がった家族でさえも、誰かが近い距離にいるのは苦手だった。だから、いつでも関係を切れるように、線を引いて距離を置いていた。
唯一、友人と言えるのは同期だった慎一郎くらいだ。
なのに、司とは既に深く関わってしまっている。
司の話を聞こうともしない親の元から誘拐同然に攫った時から、僕はきっとおかしかった。
駅弁の肉を差し出されて食べたのも、髪に触れるのを許したのも。
会ったばかりの男を前にしてバスタオル一枚で無防備に跨ってくる彼に、嫉妬に似た苛立ちが渦巻く。
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