「年下の神様」あとがき 失踪した後の夜鷹がどうなるかわからないうちに書きたいお話だったので、見切り発車で始めました。二十歳の夜鷹が三十七歳の司のところにタイムスリップしてくるほんのりSFな話です。
【一・年下の神様】のあとがき
二十歳の時の夜鷹さんに救いがあって欲しいなぁ、と思っていたのですが、司がスケートを始めたきっかけは夜鷹であってほしい……。
そして加護家から出て経済的に安定して一人暮らししてて、そこそこ時間が取れる立場であってほしい、ということでいのりのオリンピック後の年に。
いのりは司のアイスショーのキャストになる夢を奪ったのを気にしていたので、十年越しに夢を叶えてくれたらいいよなぁ、と思って書きました。司先生の綺麗なスケートを見せつけたいという夢も叶って、いのりも満足です。
司は何年経っても会えなくなっても、夜鷹のことを忘れられないだろうなぁ、と思います。
未亡人みがあるとコメントいただいたのですが、私も未亡人みたいだなと思いながら冒頭の司くん書いてました。
あのまま夜鷹が帰ってこなかったら、最後の会話があれになったことを絶対後悔しそう。司はコーチになりたてで余裕が無いから、仕方ないとは思うんですが……。
原作の司は、いつ夜鷹が失踪したことを知るんだろう?
作中の時期は十一月末ですが、夜鷹は引退して三ヶ月くらいではないだろうか、とは思います。初めてバーかなんかでお酒を試して具合悪くなって店を出て路地を歩いてたら、タイムスリップしちゃってアルコールアレルギーで倒れたってことに。
スケート以外のことを色々と試し始めていた時期です。まだ煙草には行き着いていない。司にも言わせてますが、夜鷹って遊びに行って楽しむとかめちゃくちゃ苦手そう。
昔憧れてた二十歳の夜鷹を見て可愛いなぁ、て思えるのは三十五の夜鷹を知ってて、自分が三十七になってるからなので、そういう司も書けて満足しました。
夜鷹は司がいない間にテレビをつけたら司の動画が流れて、それからずっとリピートして見てました。司のスケーティングに魅せられて、演技もとても気に入ってる。
夜鷹としてはジャンプ以外は全部褒めたので最大限の賛辞を送ったのに、司がショックを受けた様子で「苦行」とか言い始めたので、焦ってバックフリップを褒めました。そうしたら泣かれたので、内心更に焦ってそう。
司がベッドで「夜鷹さん……」って名前を呼んで泣いていたのにも気付いていたし、バックフリップを褒めて泣いたのも元々司と会ったことのある自分が原因だと知って、もやっている夜鷹。
未来の自分が司にバックフリップを教えて、アイスショーに出るように勧めたと聞いて、司の事を特別に思ってたんじゃないか?と疑惑を抱き、司に筋肉を比較されて負けたくないと思ってしまう。
裸を見たことあるの、って訊いて嫉妬もしてる。
かっこいいと思われてる未来の自分と比べてひょろがりだなって司に思われて見下されるのは耐えられなく、鍛え直すことを決意する若い夜鷹。
司に「付き合って」って言ったのは当然、告白です(司には伝わっていない)。未来の自分と混同されて『夜鷹さん』て呼ばれるのが嫌で、『純』と呼ぶように頼んでいます。