100日後にくっつくいちじろ5日目
「え、なに?ケーキ?」
「……違う。話しかけるなバカ」
「シンラツすぎだろ」
下校時刻。本日、特段用事も掃除当番もなかった二郎は真っ直ぐ帰路についていた。もうすぐ自宅が見えてくる、というところで、角から同じく下校途中と思われる弟が出てきて、目が合う。その手には今朝は持っていなかった大きめの紙袋。駅ナカにあるケーキ屋のショッパーだ。なんだそれ、と覗き込むと、中身はケーキの箱ではなく、木で出来た何かが入っていた。
「ん?まじで何これ」
「……うるさいなあ」
「あ、何か作ってきたんだろ。図工で」
「図工は小学生だろ。技術だバカ」
「ああ、それそれ。んで?何作ったんだよ?
「見せたくない」
「分かった、ラジオだろ!俺も中学ン時作ったけど音鳴らなかったわ」
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