空に浮かんだ黒い渦地球よりもはるか遠くにある、真っ白な雲に覆われた星でありながら、数多くの生命が芽生え続けている『白星』。
波打ってさざめきあう青い海と、それを目指すように流れゆく川。それを取り囲むよう生い茂る緑溢れる小さい山の上、そこから街が見えるその場所にポツンと木でできた一軒家があった。
今も昔もさほど変わらない平穏なこの島『団扇島』の山で、三つ編みをして黒いリボンでとめた金色の髪が風になびいて煌めき、一人の少女は暖かな日差しに、頭につけている冠にある青い宝石と共に照らされながら背筋を伸ばす。
ふぅ。と息をついて、今は出かけていない姉妹分の洗濯物を干す。
ふと冷たい風が肌をかすめる。まだ緑は残っているが、団扇島はもうじき秋に入ろうとしているためか夏の風と入れ替わりはじめている。
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