けれど間違いではない 数日前、五条悟という男に告白された。
一回り近く歳の離れた同姓の教え子。まだまだ思考も体躯も未熟な子供に恋愛感情を抱けという方が無理な話で、気持ちは嬉しいがきっぱりと断るべきだ。と、少し前の自分なら間違いなくそう思っていたであろう。しかし顔を真っ赤に染めて余裕もなく必死に好きだと伝えてくる五条に俺は目が離せず、年甲斐もなくときめいたりなんてしてしまった。俺はあの時、五条の事を確かに〝可愛い〟と思った。しかし幼子や小動物、テレビの中でニコニコと愛想を振りまく女性アイドル達に感じるソレとは明確に違う何か。
抱いた己の感情に戸惑う中、五条は「いつか好きでもない女と結婚させられる、それまでで良い」と言った。コイツは俺のことを端から思い出にするつもりなのだと。五条は求めている俺との関係には一切未来を見ていないのだとその言葉で全てを察した俺は、ならば自分もそれで良いのではないかと卑怯な考えが過った。
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