出逢ってくれてありがとう いつからだろう、彼の姿を目で追い掛けるようになったのは。彼のことを、もっと知りたいと思うようになったのは。
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とある日の穏やかな昼下がり。せっかくいい天気だからと外へ散歩に出掛けてみれば、そこで偶然フィガロに会った。嬉しくて、思わず小走りで彼の元へ駆け寄る。
「! フィガロ」
「ああ、賢者様。どうしたの、なんだか嬉しそうだね。何かいいことでもあった?」
優しく笑ってそう問う彼に、真剣な顔をして「こうしてあなたに会えたことです」なんて伝えたらどんな顔をするんだろう。ちょっとした興味と好奇心が沸いて、けれど結局その言葉は口に出来ないまま終わった。
「あはは、そう見えます?」
「見える見える。どうしたの賢者様、もしかして俺に会えて嬉しいとか?」
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