SS「ルナ頼む」
ボスが声を掛けると、ルナがスマホを見つめながらカウントダウンをスタートさせる。
「3、2、1·····」
「ゼロ」という声が響くと同時に、目の前のブリッツはルービックキューブを回すように銃を組み立て始めた。その動きに迷いはなく、楽しんでいるのか舌がちょろりと出ていた。
体感0.5秒、僕が遅い。
でも今日はいつもより手が動く。焦るな、と目の前の銃に集中するのに、額に冷たい金属が当たった。
「はい、負け〜」
ブリッツは銃をテーブルに置き、はぁと大きくため息をついた。
「·····すいません」
思わず肩をすぼめて謝る。
椅子に腰掛けて、ボスはテーブルに足を乗せた。
いつもなら直ぐにでも罵詈雑言が飛ぶのに、彼の口から出たのはアドバイスだった。
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