【Dear,―――】 【ハロー、愛しいキミへ】
「監督生くん、おはようッス」
ギシリと軋む音のする古びた廊下を歩いて、奥の部屋へと向かう。扉を潜ってカーテンを開ければ、宙を舞う埃が光を浴びた。
「今日はいい天気ッスよ」
外から差し込む朝日に、今日は快晴だという事を教えられて「さあ、今日も頑張ろう」と背中を押される。
なんて清々しい朝なんだろう。なんて素敵な朝なんだろう。
――けれどもう、魔法は解ける時間。
オレは静かな部屋で朝を告げる。
誰も居ない、静かな部屋で。
■ ■ ■
【拝啓、もう居ない私を愛する貴方へ】
今日も朝を告げに来た先輩の背中を見つめる。「いい天気ッスよ」という先輩の横に並び立って朝日を浴びた。窓から差し込む日の光に伸びた影は一本だけ。
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