門梶 あまみづけ他人に愛されることが人生を左右するという事実を、僕ははっきりと認識しているし、僕がこうしてここにいるのも、同じ様に人からの愛に支援されて来たからだ。
無知は自己責任で済まされてしまう齢になって、初めて得た林檎。与えられる愛の果実に僕は喜びと、同時に、虚しさをも感じた。
現在が輝けば輝くほどに過去は「かくあるべしだったもの」というものとして、肯定されてしまうものだ。
無論、誰もそんな事、ワザワザ口にしない。
だけど、自分の中の世間は口をつぐまない。
愛されなかった子供が愛される大人になったとしても、その子供を救うタイムマシンは発明されないのだ。
単なるコンプレックスだ。
誰でも持っていて、誰かは持っていない。
下らなく、浅い考え。自己責任をハミ出なかった失敗を、時間遡行もできぬ現実を利用して環境のせいにしているだけなのかも知れない。
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