時をかける藍願 ①-㉒(こ、これは一体どういう事なんだ)
困惑のまま思追は目の前の争い合う二人の間に入っていった。
戸惑いつつも割って入った思追など二人は気にもとめないように、ただお互いを睨み合っていた。
「相変わらず俺のやることなすことが気に入らないらしいな含光君」
「そうは言っていない」
二人は思追の知っている大切な二人だった。
ただし、大きく違っていた。
「温氏なんて全て滅ぼせばいい」
そう吐き捨て睨み合う彼らは、まるで自分とほとんど変わらない歳の姿をしていた。
(一体ここはどこで、私はどうしてしまったのだ)
思追はただただ訳のわからない状況に頭を抱えた。
―――ここは射日の征戦。かつて起った過去の一端。
―――思追は今その歴史の真ん中に立っていた。
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