煙草パチパチ……
足元で焚き火が火の粉を飛ばして軽やかな音を立てる。少し視線を移すと男が煙草を吸っているのが見えた。
白く華奢な指が煙草を持っているのがとても、さまになっていた。
「そんなじっと見つめるなよ」
男はこちらを一瞥もせずそう言った。1度煙を大きく吐き出すと嗤って
「穴が空いちまう」
「悪い」
「いい。おまえはそれでいい」
今度はちゃんとこちらを見た。色の入ったグラスの奥の瞳はじ…っとまるで値踏みをするようにこちらを見つめていた。
「おまえはいい男だ、デイビット。戦士としても男としても」
「その2つに違いはあるのか」
聞き返すと、彼は目を細め
「勿論だ」
と唇の端を歪めた。そして段々と短くなりつつある煙草に口をつけると大きく息を吸い込んだ。彼の薄い胸が空気に微かに膨らむ。
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