神出鬼没「……あのさ、牧野さん。俺見ちゃったんだけど」
「はい?」
「宮田先生が牧野さんに……キスしてる所」
「ああ、見られましたか」
「いやそうじゃなくて」
昼下がりの教会、須田は静かにツッコミを入れた。肝心の牧野は意に介した様子がない。須田はよくわからない物を見るような目で牧野を見た。
「少し様子がおかしいなとは思ってたんですがね、あそこまでするとは思わなかったです」
「いや少しどころじゃなくない?」
牧野曰く、牧野と宮田は昔から確執があり、お互いに隔たりを感じていたという。その二人の距離が縮まるなら喜ばしいことではないか。と須田は思いながらも先日見た光景が信じられずにいた。
「兄さんと呼んでくれるのは嬉しいんですが、最近は人目がつかないところでそういうことをしてくるようになって」
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