失血死は死ぬまでが長い。
ゆっくりと冷えていく体温を感じながら、そんなことを思った。生から死へと色濃くなっていくグラデーションの中で、これいつまで生きていればいいんだろう、と間抜けなことを悩んでしまう。意識は何処までが意識なのだろうか。死へと傾く天秤が釣り合いを完全に失うまで、生はなにを思うべきなのだろう。でももう助かりはしないのだろうという確信があった。ああ、はやく死んだ方がいい。尽きる寸前の炎が大きくなったところで、燃え尽きたら結局終わりなのだ。
終わりとは存外退屈なものだ、と気を抜いた。
私は目を瞑ろうとした。痛みは遠く、ただ漠然とした眠気が身体を包む。
――が、人生は時折恐ろしいまでに生ぬるい。
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