理想の朝食「あの…」
「うん」
「ネロ」
「うん」
「…」
「…」
「シノ」
「うん」
眠気に負けそうになっている。いや、これはもう負けているだろう。
ネロの部屋。そろそろ日付が変わる。グラスを軽く掴んだまま机に突っ伏しているネロに先ほどから話しかけるが、「うん」しか返ってこない。あなたはシノではないですよ、と言いたいが、意味もわからず「うん」と言うだろうから言わないでおく。
「あの、お願いがあるんですけど」
「うん」
「明日なんですけど」
「うん」
「明日はネロが朝食作りますか?」
「うん」
その返事を待っていた。
晶は勢いを落とさないまま、話し続けた。自然と前かがみになるのは仕方がないだろう。
「じゃあ味噌汁がいいです」
「うん」
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