独白朝、シャワーあがりの濡れた体が鏡に映る。僕はそれを見て小さく眉をひそめた。
僕の相棒をこの手で墜としたあの日から、僕の胸には大きな穴があいた。
心の穴なんてものじゃない。
本当に胸の中心、心臓のあるところに10cmくらいの風穴が空いている。
初めてそれに気がついたとき、相棒を殺したショックでとうとう頭がイカれたと思っていた。
胸がないのに心臓の音はするし、穴の側面は皮膚とも肉ともいえないなにかで覆われている。
もっとよく確かめようとそっと穴に手を入れてみた事もあった。
痛くはない………ただ胸が空っぽで虚しいと言えばいいだろうか。
あの日から今日までいろんな事があった。長年やってきた傭兵業を辞め、翼を捨てた。地上で空を見上げながら細々と毎日を過ごし、ただの一市民として過ごしてきた。
821