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    kawarano_zassi

    ジャンル雑多。エログロとかの可能性も無きにしもあらず。

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    kawarano_zassi

    DOODLE
    雇ペス燻る苛立ちを酒で飲み下す。この行きつけのくたびれたパブはいつもほどほどに人がいる。賑やかさは煩わしく、静かすぎては落ち着かない気分の時に来ては、片隅でグラスを傾けながらまばらな酔客たちをぼーっと眺めたり、自分の考えをまとめる場として使うことが多い。今日はこの先の捜査をいかに一人でやっていくかを考えていたが、まともな考えが浮かばないまま空のグラスばかりを重ねていた。上の決定を、俺はいまだ納得できずにいる。
    確かにここアウトランズの治安はいいとは言えない。盗み、密輸、詐欺、そして暴力。大抵の犯罪は毎日大盤振る舞いだが、ウチが捜査していたのはいつもの突発的犯罪ではなく組織的に行われている人身売買についてだった。証人は誰一人として居らず、被害者と思しき行方不明者が増えるばかりで、いくら追いかけてもバイヤーや顧客たちは煙のごとく消えてしまう。何も掴めぬまま焦りだけが積み上がっていくチームに、タレコミのメールが届いたのは二週間前のことだ。自分と家族の身の安全と引き換えに、知る限りの売買ルートを教えるという。存在しているということしか辿り着けていなかった俺たちにとって、それはまさに光明と言えた。
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    kawarano_zassi

    MAIKINGほぼなにも変わってないけどまたあげちゃういえーい!私は何もない空間に立っている。わかるのは周囲が暗闇に沈んでいることと、その中に立つ私を、上から降ってくる光がスポットライトのように丸く照らし出しているということだけ。声を上げて誰何しても応えはなく、動きも物音も匂いもしない。
    そんな空虚で何もない空間の中にあっても、私の胸に不安はなかった。むしろ怯えや恐怖などとは縁遠い、浮き足立つような高揚感に包まれている。
    光が照らすこの場に立っていられることへの歓びと多幸感、そして誇りを胸に抱いて、ただそこに立ち続けた。そこに立つ私は完成されていて、満ちていた。
    だがそうしているうち、ある変化が起こった。
    満ちていたはずの私にいつの間にかできていた隙間。そこから風が吹き込んで来たのだ。
    春のように朗らかなそれをどうすればいいのかわからず、立ち尽くす。
    そうする間も風はただ吹き、私の中をぐるぐると巡る。
    どうすることもできずにいると、暗闇の向こうから視線を感じた。
    (誰かに見られている。)
    光と私しか存在しないそこへ、別の誰かが侵入したのだ。私の視界は怒りのあまり真っ赤に染まり、その闖入者に怒りの雄叫びを上げて早々に立ち去るよう示した。だがそれは立ち 2068

    kawarano_zassi

    DOODLEプトブラ幸せになって……ならない………なんで……………(血涙)街で買い物をした帰り道。茜色に染まる街から隠れるように薄暗さを保つ裏路地を覗いたのは、ただの偶然だった。
    アルトゥル達でさえ寄り付かないであろうそこから、ふぅ、と立ち上るようにひとりの男が歩いてくる。
    「クリプ、ト……?」
    思わずかけてしまった声に幽鬼がグルンッ、とこちらを見た。だが私を認識した途端、薄暗さに沈んでいた顔に光が宿り、私を呼ぶいつもの顔が表示される。
    「あぁ、どうしたんだブラッドハウンド。こんなところで。今帰りか?」
    あたたかな笑顔。他の皆には向けられない、やわらかな声。普段通りの彼だ。普段とかわらない彼から、消しきれなかったのだろう、糞便と血の臭いがする。―――拷問の、気配。
    問おうとして、ぎゅっと口を噤む。
    彼の目指す道に、私のできる事はないし、きっと、クリプトも私が何かするのを望んではいない。一緒に過ごす中で、幾多の問いを飲み込み、躱すうち、わかるようになってしまった。彼のゆく道に私は必要ないし、私の道にもまた、クリプトは必要なかった。互いが互いに不要な存在で、むしろ障害であるとさえ言えた。それに知らないふりをして、あと少しだけ、と小さく懇願し、怯える小動物のように 1046