無防備な時間 ミスタがネイルをしている時、ぼくはちょっとわがままになる。髪を触ってみたり、好きだよって囁いてみたり、耳にキスを落としたり。いつもだったらすぐにやり返されるそれは、ネイルがよれないようにと何の反撃もされない。その時間がぼくは好きだった。だって、いいようにされてない時間って優越感があるじゃない?今日もいつものように、ネイルをしているミスタに近づく。
「ミスタ、好きだよ」
後ろから近づき、耳にそっとキスを落とした。びくりと跳ねる肩が可愛くて、つい笑みが漏れる。
「シュウ~?」
「んはは、大好き。 好きだよ、ミスタ」
「おれも好きだけど、そういうのはネイルしてない時に言ってくれん?」
「えぇ、やだよ。 ミスタすぐ手出すもん」
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