いつもと違う海を見て「なあ、忠さんの行きたいカキゴヤ?ってどこにあんの」
「ナビの言うことを信じるならこの近くにあるはずなんだが……」
那覇空港から飛行機に乗った後、電車や特急をいくつか乗り継いだ先でレンタカーを借り、二人は忠が行きたがっていた牡蠣小屋へ向かおうとしている。
珍しく張り切っている忠が事前に予約していたらしいそこへの行き方をスマホで調べ、レンタカー備え付けのカーナビにも目的地設定をする程の気合の入れようだった。
だが、土地勘がない上にあまり大きいとは言えない建物を探すのは運転慣れしている忠にも大変だったようで先程から似たところをぐるぐると回っている状況に陥ってしまっていた。
「まだ予約の時間まではあるんだが、本当にここで合ってるのか……?」
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