Comfort Zone -Reconsideration- 月曜日。
牧場に嫁いだセバスチャンが、毎週顔を出しに寄ってくれる日。ロビンはいつもこの日を心待ちにしていたが、今日に限っては憂鬱だった。ディメトリウスが持ちかけてきた提案を、セバスチャン本人に伝えなければならなかったからである。
「――地下室を?」
「そう……ラボを広げたいんだって」
セバスチャンの自室だった地下室は、まだ本人の荷物が少し残っているものの、部屋としては使われていない。何かあった時のために、ロビンはその部屋をそのまま残しておくつもりでいた。
しかしとうとう、ディメトリウスが空き部屋を使いたいと言い出したのだ。温度変化が緩やかな地下室は、デリケートな生物や薬品などの保管に都合がよいのだという。いよいよ本格的に息子を追い出しにかかっているように感じられて、ロビンも反対はした。だが一度は退けたものの、二度、三度と説得が続くうち――わかった、今度来たときに聞いてみるから、もうその話はよして――そう言わなければ、今でも説得は続いていただろう。
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