犬も食わない その4「こうやってバスを待つのも今日が最後だね。」
寄り添って座るアーニャが淋しげに笑った。放課後のイーデン校バス乗り場。隣り合って座る二人はアーニャが乗る最終バスを待っている。明日は卒業式。卒業を目前に控えた生徒達は名残惜しく、ほとんどの学生が帰らず居残り、放課後の教室は珍しく賑わっていた。この日ばかりは教員達も目を瞑ってくれるのだ。二人もその中に入り、思い出話やそれぞれのこの先の話に花を咲かせた。やがて最終下校のチャイムが鳴り、学生達はまた明日と笑顔で手を振り帰って行った。アーニャだけがスクールバスで帰るので、ダミアンはバス停まで送って来たのだ。こうしてここでアーニャを見送るのも今日が最後だ。
「なぁ。」
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