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    ゆるか

    書くタイプのオタク。ここは文字しかありませんよ!何でも食べる雑食だけど今はダミアニャにお熱です。

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    ゆるか

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    趣味全開で書いたパロみたいな話です。
    某考古学者の映画が大大大好きでそんな感じの話が書きたかった(о´∀`о)
    歴史好きが高じて考古学者になったダミアンの話。
    ダミアニャ成長if。年齢は20代後半辺り。ダミアンがガンファイトしたりスパイのような事をしたり何でもします。使ってる武器は趣味です笑って許してね。
    ふわっとした話なので深く考えず読んでくださったら嬉しいです。じわじわ書いていきます。

    #ダミアニャ成長if
    damianiaGrowthIf
    #ダミアニャ
    dahmia
    #SPY_FAMILY

    とある考古学者の話 1 夜の闇を切り裂くように遠くから汽笛の音が聞こえた。南欧某国、オスタニアとの国境沿いの街。山間部に続く森の中をオフロード車が数台走り抜けている。追う方はこの国で幅を利かせるマフィア、逃げる方はこの国で遺跡調査を行っていた考古学者だ。オスタニア大学の考古学助教授であるダミアン・デズモンドは、山間部の遺跡から見つけ出したロザリオを手に国に帰る所だった。このロザリオは恩師であるジーク・シャーロット名誉教授が長年追い求めていた物だった。昨年不慮の事故で亡くなったシャーロット教授の遺言により、この研究をダミアンが引き継いでいたのだ。博士が残した膨大な資料を読み解き、そのロザリオをようやく手に入れる事ができた。だが同じくロザリオを狙っていた兄弟子であるライナー・エバンズ博士が、通じていたマフィアと共に追って来たのだ。エバンズは研究費を稼ぐ為、遺跡で発掘した遺物をマフィアに横流ししていた責でシャーロット教授に破門にされ、大学を追われた人物だった。エバンズは長年手伝っていたロザリオの研究をダミアンに引き継がれ、逆恨みしているのだ。ダミアンは助手として連れて来たアーニャを伴い、悪路を走り抜けていた。
    「ダミアン!右からも来る!」
    「クソッ!しつけー野郎共だな。人が苦労して探し当てた物を奪おうとするなんて。エバンズ!絶対ブン殴る!」
    「はいはい、その前に逃げ切らなきゃ!」
     アーニャは防弾ガラスの窓を開けて顔を出し、ワルサーPPKを構え、右から来た車両のタイヤ部に立て続けに数発撃ち込んだ。その一発がタイヤを撃ち抜く。途端にマフィアを乗せた車はバランスを崩し木に突っ込んで停車した。
    「わー!当たった!ちちにしごいてもらった甲斐があった!」
    「いや、まぐれだろ。無駄撃ちするなよ。弾が勿体無い。」
    「うるさい!あと二台来る!」
     背後からの銃弾がダミアンが運転する車のサイドミラーを掠め火花を散らせた。大きくハンドルを切り、次の銃弾を回避する。左側から来た車に車体をぶつけられ、ハンドルが大きくふらついた。もう一発サイドミラーに撃ち込まれ、今度はミラーが砕け散った。
    「フォージャー君!そんな男といると君まで危ない。ロザリオを持ってこっちに来るんだ!」
     エバンズが右隣に並んだランドローバーの後部座席から身を乗り出して叫んでいる。ダミアンが運転する車のドアハンドルを掴み、必死の形相だ。エバンズはアーニャに恋慕している為、アーニャに対して無茶な事はしない筈だ。それだけが救いである。だが、あわよくばダミアンを亡き者にしてアーニャを手に入れるつもりはあるだろう。そんな事は死んでもごめんだ。突然アーニャが窓を開けた。エバンズが表情を明るくしてアーニャに手を差し伸べた。アーニャはにこりと笑顔を浮かべると、拳で思い切りエバンズの顔面を殴り付けた。反動でエバンズがランドローバーに吹っ飛んでいく。
    「アーニャだってごめんだよ。」
     ダミアンの思考を読んだのだろう、アーニャがベーッと舌を出した。
    「良くやった!」
     ハイタッチを交わした瞬間、後ろからライフルを撃ち込まれ、リアガラスにひびが入った。
    「アーニャ!頭低くしてろ!」
     言われた通りアーニャがシートに深く身を沈めた。もう一発撃ち込まれ、今度はフロントガラスが大破する。茂みの中にハンドルを切り、アクセルを踏み込んで更に加速する。このオフロード車は防弾ガラスを張り巡らせ、特殊鋼で頑丈に改造してあるが、流石にライフルには敵わない。激しい追撃を受け満身創痍なのだ。何とか持ち直し、悪路を直走り続ける。車は勢いをつけ森林部を抜け、月明かりが眩しい平原に出た。これでは身を隠す場所もない。この状況で追い付かれると面倒だ。平原には炭鉱から続く線路があり、前方に蒸気機関車が走っているのが見えた。先程の汽笛はこの機関車だったのだ。六両編成の機関車は後列二両が貨車、前の四両は客室になっている。ダミアンは客車のデッキに車を寄せると、「アーニャ!」と叫んだ。
    「アーニャ!機関車に飛び乗れ!」
    「ええっ、ダミアンは?」
    「オレも飛び乗る!先に行け!」
    「でもダミアンを置いて一人でなんて行けないよ!」
     闇夜でも輝くエメラルドが不安の色を浮かべている。
    「まさか一人で行けねーとか言わねーよな?」
     ダミアンは不適な笑みを浮かべてアーニャを見た。安心しろ、と言外に伝える。
    「お前はできる女だ!行け!」
    「……っ、もう!」
     アーニャはダミアンの頬に唇を押し付けた。ルーフを開け、屋根に出ると手を伸ばし、デッキの手摺にしがみ付いた。その手摺をよじ登り、デッキに倒れ込む。「いて!」という呑気な声が聞こえ、ダミアンは安堵の息を吐き出した。今度は自分の番だ。アクセルを踏み込むだけ踏み込み、ルーフに出る。上体を低く構えバランスを取った。強い風が髪を靡かせている。バランスを崩せばお終いだ。ダミアンは上着の内ポケットにあるロザリオを確認し、車が減速したタイミングでルーフを蹴り飛び出した。難なくデッキに飛び移る。その体にアーニャが抱き付いてきた。後方から追い付いたマフィアの車にダミアンが乗り捨てた車がぶつかり、大破する音が聞こえた。
    「ああ〜、ボンドマン号が……」
     ダミアンに抱き付いたままアーニャが嘆きの声を上げた。
    「何だそのダッセー名前は。」
     ダミアンは鼻で笑うと、アーニャの肩を抱き客車の扉を開けた。夜の汽車は人の気配がなかった。おそらく回送車両で人は乗っていないのだろう。
    「車なくなっちゃってこれからどうするの?」
    「そんなもん兄貴にまた用意させる。あっちは腐る程金持ってるんだからな。」
     歴史好きが高じて考古学の道に入ったダミアンは勘当同然で家を出た。そのダミアンのパトロンを申し出たのが兄のデミトリアスだった。遺跡調査は金がかかる。デズモンドが出資する博物館に展示する遺物を兄の依頼で捜索に出る事もあるのだ。それくらい出して当然だろう。
     窓から外を覗き見ると、最後に残ったランドローバーがデッキに張り付くように走行しているのが見えた。乗り移ろうとしているのだ。ダミアンは舌打ちしてアーニャの手を引っ張り客車の中を走り出した。前の車両まで出るとデッキから様子を伺う。マフィアが三人汽車に飛び乗る姿とエバンズが何とか汽車の手摺に取り縋っているのが見えた。ダミアンはショルダーホルスターからワルサーP38を引き出すと車に向かい発砲した。銃弾はフロントガラスに命中し、車は大きく蛇行して道を逸れて行った。手摺にしがみ付いているエバンズが目を見開いてこちらを見た。
    「デズモンド!」
     蒸気機関車が走る音に掻き消されない程の怒号が響き渡る。
    「ダミアン!他の奴が来る!」
     アーニャがダミアンの腕を引いた。ホルスターに銃をしまい、壁に立てかけられたモップをドアノブに差し込んで塞ぐ。アーニャの手を掴み客車の中を駆け抜け、前の客車に移動した。次の車両は落ちていたロープでドアノブをぐるぐる巻きにして塞いだ。これでしばらく足止めできるだろう。ところがそのまま車両を移動していると、上部から人の足音が聞こえた。咄嗟にアーニャの頭を抱え身を低くする。屋根のランボードを誰かが走っているようだ。車両の扉を塞いであった為、屋根沿いに追いかけて来たのだろう。ダミアンは再び舌打ちすると、アーニャを客席に押し込めた。
    「オレは外を見て来る。お前はここにいろ。」
    「やだ!ダミアン!」
     アーニャがダミアンの腕を掴んで引き止めた。アーニャは泣き出しそうな顔をしてダミアンを見つめていた。ダミアンは目を細めて笑みを浮かべるとアーニャの唇にキスを落とした。
    「良い子だから言う事聞け。」
     そう言って頬を撫で、アーニャの腕をやんわりと引き剥がす。エメラルドの瞳が恨めし気に睨んでいた。
    「無事に戻って来ないとブン殴る!」
    「それは怖いな。」
     アーニャに不敵な笑顔を見せて、車両の前方へと移動する。扉少し開け外を確認すると、前の車両の上から男達が話す声が聞こえた。機関車が走る音に掻き消されてしまう為、大声で話しているようだ。アーニャがいる車両の扉を閉め、前方車両のデッキに移る。ルーフに手を掛けぶら下がり、ダミアンは車両の上を覗き込んだ。
    「いたか?」
    「前の方はいなさそうだ。」
    「どこ行ったんだ?やっぱり扉が塞いであった車両か?」
    「あいつらを逃したと知れたらボスに殺されちまうぞ。せめて女だけでも連れて帰らねーと。」
    「エバンズがあの女にご執心なのにいいのか?」
    「そんなの関係ねーだろ。金になりゃ盗品でも女でもどっちでもいい。あの女美人だし、高く売れるぜ。」
     ダミアンは舌打ちした。聞き捨てならない事を男達が言った。アーニャを売るだと?例え冗談でも許せない。その時、前車両の扉が開いた。先回りした男がもう一人がいたのだ。男が声を発する前にダミアンは足を振り上げ反動をつけ男の顔面を蹴った。男はそのまま客室に倒れ込んだ。ダミアンは飛び降りて中に入ると、後ろ手に扉を閉めた。立ち上がった男をもう一度蹴り飛ばす。吹っ飛んだ男が手にしていた銃を発砲した。銃弾が天井に当たり火花が散る。ダミアンは男に馬乗りになると、銃を持つ手を掴み捻り上げた。もう一度発砲される瞬間、男の手を掴んだまま横に向ける。一発目の銃弾が窓ガラスを割り、二発目の銃弾が蛍光ランプに当たり、車内が薄暗くなった。
    「いたぞ!」
     背後から男達の声が聞こえた。屋根にいた男達が騒ぎを聞きつけやって来たのだ。次の発砲に合わせ、取り押さえている男の腕を扉に向けた。その弾は飛び込んで来た男の額に命中し、被弾した男が崩れ落ちた。
    「この野郎!」
     薄闇の中で怒号が響く。撃たれたマフィアの後ろにいた男がダミアンに向かい銃を向けた。ダミアンは取り押さえている男と抱き合う形で体の位置を反転させた。そのタイミングで連続して三発銃声が轟いた。銃弾は三発ともダミアンと抱き合っている男の背中に当たった。男が被弾した反動でダミアンも背中を打ち付け痛いがそれどころではない。ダミアンの上にいる男が僅かに痙攣し、その体から徐々に力が抜けていった。辺りに硝煙と鉄の匂いが広がった。
    「……やったか?!」
     発砲した男がダミアンの上に乗っかっている男を蹴り転がした。その瞬間、ダミアンは死んだ男から取り上げた銃の引き金を引いた。ドン!という音と共に、ダミアンを覗き込んでいた男が尻餅をついた。弾は男の頬を掠めるに止まった。続いて引き金を引くが弾切れだった。舌打ちしつつ銃を投げ捨て、ダミアンは立ち上がった。男の手から銃を蹴り飛ばし、ホルスターからワルサーP38を引き抜き男に銃口を向けた。
    「あんた達と違ってオレは簡単に殺しはやりたくないんだ。死にたくなければ大人しくしててくれ。」
    「けっ、学者先生に何ができるんだ!やってみろ!」
     青褪めた顔で男が叫んだ。ダミアンは安全装置を外し男の股の間を正確に撃ち抜いた。男が汚い悲鳴を上げた。
    「こう見えて射撃の腕は確かなんでね。お前の命で試してみるか?次は頭を狙う。」
     じり、と引き金にかけた指に力を込める。
    「わ、わかった!わかったから命だけは助けてくれ!」
     男が必死の形相で命乞いをした。人の命は簡単に奪うのに、自分の命は惜しいのか。事故に見せかけて殺されたシャーロット教授を思い出し、ダミアンは冷酷に目を細めた。シャーロット教授はエバンズの手引きによりこいつらに殺されたと確信がある。
    「……でもまぁ動けなくする必要はあるな。」
     ダミアンは容赦なく男の太腿を撃ち抜いた。再び汚い悲鳴が上がった。ダミアンは首から下がるループタイを引き抜き、呻き声を上げる男の足を止血すべく縛りあげた。
    「出血死したくなかったらじっとしてろよ。」
     そう言い残すと、ダミアンはアーニャが待つ車両へと引き返した。




     遠くから発砲音を聞こえた気がした。走行する汽車はうるさく、他の音を掻き消してしまう。ダミアンは無事なのだろうか。思わず席から立ち上がり、前方扉に向かった所で背後の扉が軋んだ音を立てた。誰かが向こう側から開けようとしているのだ。ここまでどの車両も客室には人はいなかったはずだ。だとしたら相手はマフィアかエバンズのどちらかだ。ロープで縛られたドアノブがギシギシと不穏な音をあげる。
    「ここを開けろ!」
     扉の向こうからエバンズの声が聞こえた。アーニャは咄嗟に扉に飛び付いた。開けられないように必死に扉を押さえる。あのひ弱な男のどこにこんな力があったというのか。アーニャは扉越しに強い力を感じた。これではとても保ちそうもない。バキッという音を立て、ついにドアノブが折れた。慌てて扉から距離を置く。勢い良く開かれた扉から現れたのは燻んだブロンドを振り乱したエバンズだった。チタンフレームのレンズに亀裂が入っている。
    「フォージャー君……君一人か?」
     アーニャはエバンズから視線を外さずに後退った。エバンズは薄気味悪い笑みを浮かべてアーニャを見つめている。
    「ロザリオはどこだい?」
     エバンズが手を差し出した。アーニャは大きく息を吐き出すと、タイミングを見計らい前方の扉に向かい走り出した。背後から高く結い上げてある髪を引っ張られ、アーニャは悲鳴を上げた。そのまま引き寄せられ、抱き止められる。
    「ロザリオが手に入らないなら君だけでも……!私と一緒に逃げてくれ!」
    「やめて!離せ!」
     エバンズの手から逃れようとアーニャは必死にもがいた。フットショルダーのワルサーPPKを引き抜いた手を捻りあげられ、アーニャは悲鳴を上げた。そのまま揉み合いになったが、男の力に勝てる筈もなく、呆気なくワルサーPPKを取り上げられてしまった。その時、前方の扉が開きダミアンが飛び込んで来た。
    「アーニャ!」
     ダミアンは状況を把握すると、射殺さんばかりにエバンズを睨み付けた。
    「おいクソ野郎、アーニャから手を離せ!」
     ダミアンはワルサーP38を構え、引き金に指を掛けた。エバンズがアーニャの頭に銃口を突きつけ、後退る。硬い銃口の感触に、アーニャが怯えて息を飲んだ。
    「デズモンド、彼女を離して欲しかったら銃を捨ててロザリオを渡せ。」
    「てめぇ……、アーニャに傷一つ付けてみろ。絶対許さねーからな。」
     ダミアンはあっさり銃を投げ捨てると、内ポケットからロザリオを取り出した。
    「よし、床に置いて、そのまま後ろに下がれ。両手は頭の上だ。」
     ダミアンは床にロザリオを置くと、言われるまま両手を上げ、エバンズから視線を外さないまま後ろに下がった。
    「もっと下がれ!」
     ダミアンは更に後ろに下がった。それを見たエバンズがアーニャの耳元にゆっくりと唇を寄せた。ダミアンが目を見開く。
    「フォージャー君……いや、アーニャ。良い子だからロザリオを取ってくるんだ。」
     言いながらエバンズはアーニャの耳朶を食んだ。咄嗟にアーニャは肘鉄を打ち込もうと腕を動かした。
    「おっと、変な気は起こさない方が良い。銃口はデズモンドを狙ってるぞ。」
     ダミアンに銃口を向けながら、エバンズが薄気味悪い笑みを浮かべた。アーニャは震える体を何とか宥め、一歩踏み出した。
    (アーニャ。)
     ダミアンは心の中でアーニャに呼びかけた。その声を聞いたアーニャが足を止める。
    (ロザリオを手にしたらシートの間に飛び込め。)
    「……!」
     アーニャはわかったとばかりにゆっくりと二回瞬きをした。大きく息を吐き出し、再び足を進める。腰を落とし、恐る恐るロザリオを拾い上げた。背後でエバンズが歓喜しているのがわかる。アーニャもロザリオを手に入れたと勝手に確信しているのだ。アーニャはそのまま客席の間に飛び込んだ。エバンズが驚きの表情を浮かべた。視線はアーニャの姿を追っている。その隙を見逃さず、ダミアンは左手首を突き出し腕時計のリューズを引っ張った。細工された腕時計から針が飛び出し、エバンズの額に突き刺さる。エバンズが額を押さえ悲鳴を上げた。ダミアンはアーニャが飛び込んだ客席の間に自身も飛び込んだ。直様アーニャの体を庇う様に抱え込む。立て続けに二発銃声が聞こえた。一発がダミアンとアーニャが飛び込んだ客席の背もたれに当たった。
    「デズモンド……!」
     気狂いじみた声を発し、突然エバンズがその場に崩れ落ちた。その音を聞き、ダミアンはアーニャをその場にしゃがませたまま客席に手を掛け立ち上がった。床に倒れたエバンズはぴくりとも動かない。ダミアンはエバンズに近付いた。エバンズは完全に意識を失いのびていた。
    「ダミアン、何したの?」
     アーニャがダミアンの腰に手を添え、背後から恐る恐るエバンズを覗き込んだ。ダミアンはアーニャの目の前に左手を差し出し腕時計を見せた。
    「これだよ。」
    「腕時計?」
    「フランキーさんが作ってくれた。リューズを引っ張ると麻酔針が飛び出る。東洋のアニメで見た物を参考に作ったらしい。本当はジャングルで猛獣が出た時に使うつもりだったが助かった。」
    「ああ!いいな!アーニャも作ってもらお!」
     はしゃいだ声を上げたアーニャを抱き寄せ、ダミアンは彼女の耳をゴシゴシと拭った。
    「いたたっ、何?!」
    「エバンズの野郎、オレのアーニャの可愛い耳を!」
     舌打ちしながら、本気で怒っている。他に怒るところがあっただろうと思いつつ、アーニャは笑みを浮かべた。ダミアンの首に腕を回し、抱き付く。
    「じゃあダミアンが消毒して。」
     ね?と言って首を傾げた。ダミアンは屈むと、アーニャの耳朶を食んだ。擽ったさにアーニャは目を閉じて肩を竦めて笑った。
    「擽ったい。」
     瞼の向こうに微かに笑う気配を感じ、顎を掬い上げられた。直様柔らかな感触が降りて来て、深く唇を塞がれた。




     蒸気機関車は夜の平原を勢い良く走り続けている。向かう先はこの国とオスタニアとの国境沿いの街だ。
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    ゆるか

    PROGRESSとある考古学者の話の番外編です。
    そういえば以前相互さん宛にちょこっと書いたのを思い出しました。よろしければお口直しにどうぞ。(お口直しになるかな…?)
    ダミアニャ成長if。
    とある考古学者の話・番外編 ある日の考古学者の話 二一時三〇分バーリント駅。到着した汽車から一人の男が降り立った。その男はセル巻き眼鏡を外し、上着のポケットに忍ばせると、行儀良く締められたネクタイを緩め、ワイシャツの第一ボタンを外した。後ろに撫でつけた髪をくしゃりと乱し、大きく息を吐き出す。時計を確認し、スーツケースを引っ張りながら改札に向かい歩き出す。オスタニア大学助教授であるダミアン・デズモンドは学会に出席する為に地方に赴いていた。そのまま現地の発掘調査に参加し、本日ようやく帰って来たところである。
    (もうニ週間もアーニャに会ってない……)
     毎日仕事に忙殺されていた為、電話も四日前にかけたのが最後だ。せめて一目会えないだろうか。今から訪ねればまだ起きているだろう。駅前でタクシーを拾い向かえば、二十分程でアーニャが住むアパートに着く。ダミアンはタクシーを捕まえる為、ロータリーに出た。そこに停車している一台のリムジンを見て、小さく舌打ちした。後部座席の窓が音もなく開き、顔を出したのはダミアンの兄であるデミトリアスだった。
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    ゆるか

    PROGRESS趣味全開で書いたパロみたいな話です。
    某考古学者の映画が大大大好きでそんな感じの話が書きたかった(о´∀`о)
    歴史好きが高じて考古学者になったダミアンの話。
    ダミアニャ成長if。年齢は20代後半辺り。ダミアンがガンファイトしたりスパイのような事をしたり何でもします。使ってる武器は趣味です笑って許してね。
    ふわっとした話なので深く考えず読んでくださったら嬉しいです。じわじわ書いていきます。
    とある考古学者の話 1 夜の闇を切り裂くように遠くから汽笛の音が聞こえた。南欧某国、オスタニアとの国境沿いの街。山間部に続く森の中をオフロード車が数台走り抜けている。追う方はこの国で幅を利かせるマフィア、逃げる方はこの国で遺跡調査を行っていた考古学者だ。オスタニア大学の考古学助教授であるダミアン・デズモンドは、山間部の遺跡から見つけ出したロザリオを手に国に帰る所だった。このロザリオは恩師であるジーク・シャーロット名誉教授が長年追い求めていた物だった。昨年不慮の事故で亡くなったシャーロット教授の遺言により、この研究をダミアンが引き継いでいたのだ。博士が残した膨大な資料を読み解き、そのロザリオをようやく手に入れる事ができた。だが同じくロザリオを狙っていた兄弟子であるライナー・エバンズ博士が、通じていたマフィアと共に追って来たのだ。エバンズは研究費を稼ぐ為、遺跡で発掘した遺物をマフィアに横流ししていた責でシャーロット教授に破門にされ、大学を追われた人物だった。エバンズは長年手伝っていたロザリオの研究をダミアンに引き継がれ、逆恨みしているのだ。ダミアンは助手として連れて来たアーニャを伴い、悪路を走り抜けていた。
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