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    momohiki_saburo

    REHABILIイニと竜≡がてつはうを使ってほのぼのと魚を獲る話、概ねギャグ寄りです「竜三!おるか?」
     寒い夜が明け、ようやく陽が差し込み始めた時分に野営で響く大声。
     こんな朝早くから叫ぶなよ。思わず眉間に皺が寄る。
    「ここだ!」
     同じくらいの声量で手短に居場所を返す。
     菅笠衆以外でここに来るとなるとあいつしかいないだろう、欠伸を一つして声の主を待つ。

    「ここにいたか」
     少しすると声の主が岩の隙間から出てきた。
    「仁!なんだよ朝っぱらから」
     まだこの時間だと寝てる奴も多いんだからあまり大声を出すなよ。まあ俺も大声で返したが。
     あまり大きな声だと皆が起きる、そう続けると、はっ、とした表情の後、俺の側に寄ってきて耳打ちしてくる。
     違う、そうじゃない。
    「これから時間はあるか?」
    「そりゃ腐るほどあるがよ」
     耳元で喋られるとこそばゆい。
     時間はあると答えると、なら一緒に来てくれとぐいぐい袖を引っ張られる。
     やめろ解れが拡がると振り払って仁の顔を見ると、何やらひどくご機嫌そうな表情。

     今度は何をしでかそうとしてるかは知らんが、その顔がろくでもないこと考えてる顔だってのはよく知ってる。
    「なるべく大きい籠を二人分用意してくれ、すぐに出るぞ」
     仁があ 2936