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    えむ

    Jack

    PASTレムえむ
    甘くないです
    なんならマイナス寄り
    lie like「あはは、どうでしたかね」

    それが彼女の口癖だった。へらへらと笑顔を浮かべて、少し気まずそうに軽く頭を掻く。本人は気付いているのか分からないが、エムは嘘をつく時に目を瞑ったり、斜め下に視線を逃がしたりする癖がある。あぁ、また目線が下に向いた。そんな事を思いながら、皆に囲まれて談笑する彼女を少し離れて見ていた。

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    重い身体を動かして、箒に乗る。朝から付きまとわれた堅苦しいインタビューや報道から逃げる様に、空に向かって地を蹴った。ふわりと身体が浮かんで、あっという間に木々の上。もうすっかり太陽は傾いており、夕方を知らせる。空は橙色と薄ら青のミルクたっぷりのカフェオレの様に混ざっていて、雲とのコントラストが綺麗だった。『彗星の魔導師』としての仕事が終わる。こんな日は早く帰って大好きな甘いものでも食べてしまおう。そう思って飛ぶ速度を上げた時だった。ふと下を見れば異世界から飛んできた彼女が1人歩いていた。特に何も用事は無かったものの、少し彼女に声を掛けたくなって、高度を下ろす。彼女の後ろに回り、音を立てないように箒を降りたつもりだったが、彼女は此方を振り返った。
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    kikhimeqmoq

    DONEチヒ柴。チヒロが16歳か17歳くらい。付き合ってない。解釈開陳ポエムです。
    不思議な踊り寝ている柴の頬に指を乗せた。三十代男性の平熱がどの程度がは知らないが、いつ触ってもあたたかいと思う。今日は千紘のミスがあり、薄い切り傷ができたせいか、平時よりも熱い気がする。自分の唇で確認しても、彼の体温が高いか低いかは分からなかった。とにかく自分の唇が冷たいので、比較しようがない。唇だけ死を引きずってきたのかもしれない。今日、切り殺した奴らの名前も知らないのに、冷たさだけが繋がっているのは面白くなかったので、その考え方はやめた。おそらく、千紘の唇は国重が死んだときから冷たい。唇だけではなく手足も、心臓も。
    音をたてないようにゆっくりと柴の上に屈み、そっと唇を合わせた。柴の唇はあたたかく、柔らかく、滑らかだった。冷たく、硬く、かさついた自分とは違う。じっと粘膜を合わせていると、徐々に自分もあたたかくなってくるような気がした。自分と同じように毘灼を憎み、人を切り、周囲を裏切っているのに、ちゃんとあたたかみがあるのはどうしてだろう。大人になれば自分もそうなるんだろうか。それとも、いたずらをして冗談を言えるようになればいいんだろうか。それならば国重の唇もあたたかかったんだろう。
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