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    くらげ

    Hoopono41030595

    DONEエアSSその2。お題は「ゴムを買いに行くヘタレクワナ君」。
    ホントにヘタレですんでご注意。
    くらげ(@ao_krg)さんリクエストありがとうございました。

    #江楽宴
    僕は今、ものすごく悩んでいた。
    激安と名高い、大型のディスカウントショップ。その売り場の一角で立ち尽くしてもう30分にはなるだろうか。

    「ゴムって……こんなに種類あるん……?」

    目の前に壁のように並べられた各種コンドームに僕は圧倒されていた。

    僕が豊前と体を重ねるようになって、数か月。
    ゴムやら、ローションやらを準備してくれるのはいつも豊前だった。
    僕も、それには何の疑問もなかったんだけど……。

    「あ、今日、ゴムもローションもねーわ。」
    夜も更け。
    さてやるか、という段階になって豊前がそう言いだしたのだ。
    僕はすっかりやる気満々でいたんだけれども、その一言で豊前は「今日はナシだ。」と言い始めた。

    そんな!そんなのひどい!!
    僕は抗議の声を上げるが、豊前が否というのだから交渉は成立しない。
    それでもあきらめられない僕は……まあ、口でしてもらったわけだけれども……。

    っていうことは、豊前に用意してもらわなくてもゴムとかローションとかが常備されていれば、いいんだよね。

    そう思い立った僕は生まれて初めて、そういったたぐいのモノを買いに来て、今、そこに立ち尽くしているのだった。

    861

    鶴田樹

    DONEくらげさんからリクエストいただきました。お題は【喫煙】です3月末。

    それは決算準備と期末の販売額の積み上げで社内のどこもかしこもが修羅場と化す魔のシーズンだ。

    普段はホワイトな弊社だが、連日深夜まで続く残業に社員の顔からは明らかな疲労の色が見て取れ、そんな中で些細な事件が頻発していた。

    「あ、桑名さん!さっきの仕様書…ひぇっ…!」

    背後に桑名の気配を感じて検印済みの仕様書を返そうとした女子社員が悲鳴を上げる。

    本来ならそんなに驚くことはないのだろうが、振り向いた先にいたのが桑名ではなく営業部エースで『社内の初恋泥棒』という不可思議な通り名で持て囃される豊前だったのだから彼女が驚いたのも無理はなかった。

    「あっ…ごめんなさい…桑名さんかと思って…間違いました」

    恐縮しきりの女子社員に、「いーよ、桑名に持っていけばいいんだな」と好感度MAXなキラキラの笑顔で答え、豊前は軽快な足取りで総務部へ向かう。

    ところ変わって社員食堂。

    「豊前さんもコーヒーですか?ふえっ…!」

    豊前の気配を感じ、振り向いた女子社員が素っ頓狂な声を上げる。彼女の後ろに並んでいたのはオリーブ色の髪の下、ごくたまに見える甘いマスクで女子社員から『毎日会える王子 1805