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    はちみつ

    hbnho210

    SPUR MEルクアロ版ワンドロワンライ様よりお題「はちみつ」「恋」をおかりしました!ルクアロがいちゃいちゃいちゃいちゃしています。
    お題:「はちみつ」「恋」5/7 はちみつみたいに、あまい、あまい恋をしたの。
     それは、パンケーキに蜂蜜のチューブをまるまる一本かけたくらいあまい?
     そう訊いたら、パンケーキに蜂蜜をそんなにかけたことないから解らない、そう言われた。それはある日の放課後、クラスメイトの女子たちがクラスで流行っていた小説の一節を読み上げて聴かせてくれたときの会話だ。別の女子が、きっともっともっとあまいわ、スーパーの棚に並んでいる蜂蜜をぜんぶパンケーキにかけたよりもずっとあまいのよ、そう言って胸のまえで両手を強くにぎりしめてため息をついた。
     スーパーの棚に並んでいる蜂蜜ぜんぶをパンケーキにかけたよりもあまい。
     それはどれくらいあまいのだろう。想像もつかない。けれど、蜂蜜のチューブ一本まるまるパンケーキにかけたとき、脳がしびれるくらいあまかった。父さんにみつかって、蜂蜜のチューブ一本をまるまるパンケーキにかけることは禁止されてしまったけれど、ときどき思いだす、あのあまさを。あの、脳がびりびりっとして舌がどろどろにとけてしまうくらいあまい、あまい、はちみつよりもあまい「恋」とはどんなものかしら。そんなにあまい「恋」をしたら僕の舌はとろけて蜜になって口のなかはあまいあまい蜜でいっぱいになって息ができなくなってしまいそう。いっぱいになった蜜は口のなかからあふれて僕の体がすっかりと蜂蜜の瓶のなかにもぐってしまったみたいになったら、僕の心臓もひとくちかじると歯がじんじんするくらいにあまくなって、おなかのなかも頭のなかもあまい蜜でぱんぱんになった僕は、僕自身が世界中の蜂蜜をぜんぶかけたあまくてふわっふわのパンケーキみたいになってしまうんじゃないかしら。
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