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    エルシ

    オルト

    TRAINING737文字
    成人済み同棲タイカケ
    普段はタが甘えるしカケは甘やかしたい派だけど、逆転する日もある筈。
    「ねぇね、タイガきゅん、あのねあのね」
    「おー」
     帰ってきたカズオが着替えもせず、俺にベタベタと引っ付いて止まることなくしゃべり続けてもう三十分は経ったと思う。いつもはすぐに着替えるかすぐ風呂に入るカズオがこうしているのは珍しい。
    「ふふ、タイガきゅんはかわいいね。それにカッコいい。大好き」
     脈絡なく俺を褒めて、そして好きだと囁く。スーツがしわになるのを気にせず、ぎゅうと俺にしがみつく。
    「カズオ、そろそろメシの支度すんぞ」
     そう言ってポンポン背中を叩いても、カズオは俺にしがみついたまま「あー」とか「うーん」と言うだけで離れようとしない。珍しいこともあるもんだ。でも、なんか変だ。カズオが、こんな風にするの。
    「カズオ」
    「カー、ケー、ル」
     最近すっかり慣れてしまったのか、あまり訂正することが無かったので久しぶりに聞いた。
    「カケル、だよ」
     ぽつり、と漏らした声はいつものチャラチャラした「カケル」の声ではない。
    「……カケル」
    「ふふっ、タイガぁ」
     途端にカズオは嬉しそうな声を上げて、俺の身体に埋めていた顔を上げた。俺はそっと触れて、目元を擦るように顔を撫であげる。くすぐった 763