オルテガ
菫城 珪
กราฟฟิตี้オルテガ誕②オルテガ誕② 散々迷走して料理をする事になったのはいい。
得意分野であるからこそ何を作ったもんかと悩みまくり、うちのシェフやガーランド家のシェフも巻き込んでやっとメニューを決めた。仕事の邪魔をしているというのに、皆微笑ましい顔で相談に乗ってくれるのが非常に居た堪れなかった。
軽いコース料理にしようと思って、一品はオルテガが好きな鶏肉の香草焼きに決めた。前菜とスープ、メインとデザートくらいで出そうと思っているが、どうせなら涼介が喜ぶ物も入れたい。しかし、涼介が好きな食べ物が分からないのだ。
一緒に食事に行った事はあるが、大体近所の安い居酒屋で頼んでいたのだってありふれたつまみばかりだった。思えば全然涼介のことを知らないのだと痛感しながら頭を悩ませる。
4853得意分野であるからこそ何を作ったもんかと悩みまくり、うちのシェフやガーランド家のシェフも巻き込んでやっとメニューを決めた。仕事の邪魔をしているというのに、皆微笑ましい顔で相談に乗ってくれるのが非常に居た堪れなかった。
軽いコース料理にしようと思って、一品はオルテガが好きな鶏肉の香草焼きに決めた。前菜とスープ、メインとデザートくらいで出そうと思っているが、どうせなら涼介が喜ぶ物も入れたい。しかし、涼介が好きな食べ物が分からないのだ。
一緒に食事に行った事はあるが、大体近所の安い居酒屋で頼んでいたのだってありふれたつまみばかりだった。思えば全然涼介のことを知らないのだと痛感しながら頭を悩ませる。
菫城 珪
กราฟฟิตี้オルテガ誕生日SS①オルテガ誕SS①オルテガ誕SS①
人の誕生日を祝うなんてこれまで「俺」の人生では殆どなかったように思う。
両親を早くに亡くし、たらい回しにされる暮らし。それでなくとも両親の葬儀の場で自分を疎むような話を聞いてから人を信じられなくなっていた。心から親しくなるような人は少なくて、ほんの一握りだった。
それ故に、俺は今重大な問題にぶち当たっている。
「恋人への誕生日プレゼントって何を渡すのが定番なんだ……?」
恥を忍んで相談しようと来てもらったのはヘドヴィカだ。彼女もまた日本で行きた記憶があるし、この世界で生きて長い。間違い無くネタにされるだろうが、他に相談出来そうな相手が思い当たらなかった…というよりも皆同じような回答をされたのだ。
3112人の誕生日を祝うなんてこれまで「俺」の人生では殆どなかったように思う。
両親を早くに亡くし、たらい回しにされる暮らし。それでなくとも両親の葬儀の場で自分を疎むような話を聞いてから人を信じられなくなっていた。心から親しくなるような人は少なくて、ほんの一握りだった。
それ故に、俺は今重大な問題にぶち当たっている。
「恋人への誕生日プレゼントって何を渡すのが定番なんだ……?」
恥を忍んで相談しようと来てもらったのはヘドヴィカだ。彼女もまた日本で行きた記憶があるし、この世界で生きて長い。間違い無くネタにされるだろうが、他に相談出来そうな相手が思い当たらなかった…というよりも皆同じような回答をされたのだ。
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เสร็จแล้ว弊パーティの勇者は父親譲りの無自覚天然タラシです(勇盗)正直、親父のオルテガも公式で無自覚天然タラシだと思う。
じゃないとあんなにバリエーション豊かな種族に矢印向けられないし(言い方)
思い出せる範囲の時点で人間(老若男女)、ホビット、妖精(多分)と多岐に渡ってるの、冷静に考えたらやばい。
菫城 珪
กราฟฟิตี้オルテガと涼介の話幻夢の邂逅 夢を、見ていた。
知らない街なのに、何故か懐かしさを覚える。
共にいるのは黒い髪の青年。でも、見知ったものよりずっと短い髪だ。
彼は楽しそうに見知らぬ夜の街を歩く。鼻をつく独特の香りは硫黄だろうか。見慣れない服装は随分と無防備に見える。木製の変わった形の靴が、石畳を蹴る度にカラカラと小気味の良い音がする。
夜の風が柔らかく彼の黒い髪を揺らす。微かに甘い爽やかな香りがした。
全く知らない筈の光景なのに、それは酷く心を掻き乱す。
見た事があるような錯覚に陥り、同時に胸が締め付けられた。
これは幸せだったほんの一幕。嗚呼、この後暫くして隣を歩く彼は……。
不意に光景が切り替わる。
見覚えのない部屋は酷く狭いが、干し草のような清々しい香りがする。広さこそ狭いものの洗練された部屋に困惑していれば、部屋の奥にあるスペースに設られた椅子に誰か座っている事に気が付く。
2486知らない街なのに、何故か懐かしさを覚える。
共にいるのは黒い髪の青年。でも、見知ったものよりずっと短い髪だ。
彼は楽しそうに見知らぬ夜の街を歩く。鼻をつく独特の香りは硫黄だろうか。見慣れない服装は随分と無防備に見える。木製の変わった形の靴が、石畳を蹴る度にカラカラと小気味の良い音がする。
夜の風が柔らかく彼の黒い髪を揺らす。微かに甘い爽やかな香りがした。
全く知らない筈の光景なのに、それは酷く心を掻き乱す。
見た事があるような錯覚に陥り、同時に胸が締め付けられた。
これは幸せだったほんの一幕。嗚呼、この後暫くして隣を歩く彼は……。
不意に光景が切り替わる。
見覚えのない部屋は酷く狭いが、干し草のような清々しい香りがする。広さこそ狭いものの洗練された部屋に困惑していれば、部屋の奥にあるスペースに設られた椅子に誰か座っている事に気が付く。
菫城 珪
กราฟฟิตี้王都編54話の幕間。セイアッドとオルテガの副官の話怒らせてはいけない人※王都編54話の幕間です
怒らせてはいけない人
「セイアッド様」
声を掛けられて顔を挙げると目の前にはいつの間にかオルテガの副官、イデオン・イリル・ベックがいた。何の気配もなかった事に少々驚いて固まっていると、イデオンは困ったように目尻を下げる。
「驚かせて申し訳ありません。貧民窟の件でご報告に上がりました」
「あ、ああ」
柔らかな声音で謝罪しながら、彼はそっと書類を差し出した。報告書だろうか。
柔和そうな雰囲気を纏う男は騎士らしくない。こんな優しそうなのにオルテガは頭が上がらないらしい。どうやら怒らせたら怖いタイプのようだ。
受け取ってざっと目を通す。どうやら大きな騒乱もなく無事に撤去出来ているようで安堵する。
1445怒らせてはいけない人
「セイアッド様」
声を掛けられて顔を挙げると目の前にはいつの間にかオルテガの副官、イデオン・イリル・ベックがいた。何の気配もなかった事に少々驚いて固まっていると、イデオンは困ったように目尻を下げる。
「驚かせて申し訳ありません。貧民窟の件でご報告に上がりました」
「あ、ああ」
柔らかな声音で謝罪しながら、彼はそっと書類を差し出した。報告書だろうか。
柔和そうな雰囲気を纏う男は騎士らしくない。こんな優しそうなのにオルテガは頭が上がらないらしい。どうやら怒らせたら怖いタイプのようだ。
受け取ってざっと目を通す。どうやら大きな騒乱もなく無事に撤去出来ているようで安堵する。
菫城 珪
กราฟฟิตี้追い払われたオルテガの話一方その頃…一方その頃…
落ち着きなくウロウロと歩き回る姿はまるで檻に囚われた猛獣の様だった。
彼は身長も高く体格も良いから騎士団の狭い執務室内を彷徨かれると非常に鬱陶しい。殺気立った様子に新人の騎士は顔色を悪くしているし、室内の雰囲気も悪い。おまけに仕事も進まない。
やれやれ、やはり自分が動くしかないか。深い溜め息を一つ。全く、上司の世話を焼くのも楽ではない。
「閣下、いい加減になさいませ。落ち着きのない。犬でも待てくらい出来ますよ」
「しかし……」
「しかしもへったくれもありますか。レヴォネ卿に言いつけますよ」
すっぱり切り捨てると不承不承といった様子でガーランド団長がやっと自らの椅子に座った。それでも落ち着かずにちらちらと目をやるのは窓の外。
1421落ち着きなくウロウロと歩き回る姿はまるで檻に囚われた猛獣の様だった。
彼は身長も高く体格も良いから騎士団の狭い執務室内を彷徨かれると非常に鬱陶しい。殺気立った様子に新人の騎士は顔色を悪くしているし、室内の雰囲気も悪い。おまけに仕事も進まない。
やれやれ、やはり自分が動くしかないか。深い溜め息を一つ。全く、上司の世話を焼くのも楽ではない。
「閣下、いい加減になさいませ。落ち着きのない。犬でも待てくらい出来ますよ」
「しかし……」
「しかしもへったくれもありますか。レヴォネ卿に言いつけますよ」
すっぱり切り捨てると不承不承といった様子でガーランド団長がやっと自らの椅子に座った。それでも落ち着かずにちらちらと目をやるのは窓の外。
菫城 珪
กราฟฟิตี้思春期なオルテガの話彷徨 不意にさらりと流れた黒い髪。
その合間から覗いた細くて白い首筋。
目にした瞬間に感じた言いようのない本能的な高揚感に、直様吐き気を覚えた。
オルテガ・フィン・ガーランドにとって幼馴染であるセイアッド・リア・レヴォネは最も親しい友人であり、最も大切な者だ。
物心の付く前から惹かれた存在であり、出逢った瞬間からずっとオルテガの心を占めている幼馴染はいつだって無垢で綺麗な存在だった。崇拝にも似たその感情は年を経る毎に徐々に変化していく。
男の体が成長すれば、必然的に性的な衝動が伴ってくるのだと頭では理解していた。しかし、オルテガにとって聖域ともいえるセイアッドにそんな感情を覚える事はないと思っていたのに。
1183その合間から覗いた細くて白い首筋。
目にした瞬間に感じた言いようのない本能的な高揚感に、直様吐き気を覚えた。
オルテガ・フィン・ガーランドにとって幼馴染であるセイアッド・リア・レヴォネは最も親しい友人であり、最も大切な者だ。
物心の付く前から惹かれた存在であり、出逢った瞬間からずっとオルテガの心を占めている幼馴染はいつだって無垢で綺麗な存在だった。崇拝にも似たその感情は年を経る毎に徐々に変化していく。
男の体が成長すれば、必然的に性的な衝動が伴ってくるのだと頭では理解していた。しかし、オルテガにとって聖域ともいえるセイアッドにそんな感情を覚える事はないと思っていたのに。
菫城 珪
กราฟฟิตี้オルセイSS。知的好奇心に突き動かされるセイアッドと巻き込まれオルテガの話好奇心は猫を殺す(オルセイ) 良い筋肉は柔らかいらしい。
ふと思い出した死ぬ程どうでも良いそんな知識が朝からずっと頭の中でぐるぐるしている。こういうどうでも良い思考が頭から離れない時は大体疲れている時だ。
「リア、そろそろ休憩したらどうだ?」
そんなタイミングで軽装のオルテガがノックもなしに紅茶を携えながらやってきた。しかも、シャツにカマーベスト姿である。今日はちょっと暑いもんな。
軽装ゆえに目立つのはオルテガの肢体だ。薄いシャツ越しに見える筋肉はしなやかで厚い。胸元の筋肉が今日は特に強調して見える。えっちだ。
…こんな事を考える辺りもうダメかもしれない。やめやめ、ちょっと休もう。
「ありがとう」
ペンを置いて供された紅茶を口に含む。柑橘の香りと酸味、それから蜂蜜の甘さが疲れた体に染み入るようだ。こういう気遣いが憎いんだよなぁ。
2650ふと思い出した死ぬ程どうでも良いそんな知識が朝からずっと頭の中でぐるぐるしている。こういうどうでも良い思考が頭から離れない時は大体疲れている時だ。
「リア、そろそろ休憩したらどうだ?」
そんなタイミングで軽装のオルテガがノックもなしに紅茶を携えながらやってきた。しかも、シャツにカマーベスト姿である。今日はちょっと暑いもんな。
軽装ゆえに目立つのはオルテガの肢体だ。薄いシャツ越しに見える筋肉はしなやかで厚い。胸元の筋肉が今日は特に強調して見える。えっちだ。
…こんな事を考える辺りもうダメかもしれない。やめやめ、ちょっと休もう。
「ありがとう」
ペンを置いて供された紅茶を口に含む。柑橘の香りと酸味、それから蜂蜜の甘さが疲れた体に染み入るようだ。こういう気遣いが憎いんだよなぁ。
菫城 珪
กราฟฟิตี้「盤上に咲くイオス」オルテガ×セイアッドでバレンタインSS遠回しな贈り物遠回しな贈り物
「試食だ、食べてくれ」
そう宣ってテーブルに置いている形もさまざまなチョコレートを勧めた。
今度商会で出そうと思っている新商品の試作品で、小皿毎に違う味になっている。様々な人に同じ様に試食会を重ねて評判が良いものを商品化に向けていくつもりだ。
甘い芳香に幼馴染達は表情を緩ませ、各々が好きなものに手を伸ばす中、オルテガだけはどれにも手を出さずにじっと吟味していた。別に甘い物は苦手ではなかった筈だが、どうしたんだろうか。
「……俺はこれを貰う」
ややあってからそう言ってオルテガが手に取ったのはシンプルな正方形のチョコレートが乗った小皿だ。それをオルテガが手に取った瞬間に心臓が跳ねる。
同時にちらりとこちらに寄越される夕焼け色の瞳に、オルテガが核心を持ってあのチョコレートを選んだ事を悟った。
1193「試食だ、食べてくれ」
そう宣ってテーブルに置いている形もさまざまなチョコレートを勧めた。
今度商会で出そうと思っている新商品の試作品で、小皿毎に違う味になっている。様々な人に同じ様に試食会を重ねて評判が良いものを商品化に向けていくつもりだ。
甘い芳香に幼馴染達は表情を緩ませ、各々が好きなものに手を伸ばす中、オルテガだけはどれにも手を出さずにじっと吟味していた。別に甘い物は苦手ではなかった筈だが、どうしたんだろうか。
「……俺はこれを貰う」
ややあってからそう言ってオルテガが手に取ったのはシンプルな正方形のチョコレートが乗った小皿だ。それをオルテガが手に取った瞬間に心臓が跳ねる。
同時にちらりとこちらに寄越される夕焼け色の瞳に、オルテガが核心を持ってあのチョコレートを選んだ事を悟った。