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    クォーツ

    みみみ

    MOURNINGクォーツの演目、不眠王の後日談です。
    王様が眠れるようになってから、ラストシーンに至るまでの妄想。
    (スズキサ、不眠王×娘)です
     コンコンコン。三度のノックの後、明るく澄んだ返事が内から聞こえてくる。愛くるしい妃の声だ。すぐに扉は開き、花開くような笑顔で迎え入れられる。暖かい夕食を囲んだ後、雑務を終わらせ城の隅にある小さな部屋へと訪れるのがここ数日の日課となっていた。
     彼女が俺の妃となったのは三日ほど前のことだった。俺の呪いを解き、この城を明るく照らした彼女。王妃となり、この控えめな部屋から移動する提案もされていたようだったが、彼女は笑って「この部屋は声がよく響きますから、歌の練習にはぴったりなんです」と断っていたようだった。そういう経緯があり、俺は寝る前にこの部屋へと通うこととなったのである。少しでも同じ時間を過ごすためなら、小さな労力など惜しくはなかった。
     そうして話題になるのは、主に彼女の過ごした一日についてだ。時折歌も混じえた、弾んで飛んでしまうような語り口調。
     王妃になってからも城へ来たときと変わらない彼女。彼女の口からは勿論だが、臣下たちが彼女について話しているのが時折耳に入ることがある。やれ落ち着きがないやら、やれ王妃としての振る舞いがどうやら。料理番やメイド長の声で聞こえてくることの多いそ 2454