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    ツカサ

    yoshii_no

    MOURNING芍沢くん視点
    芍→つかさ きっかけ
    いつも通りの授業を終えて、ある者は部活、ある者はバイトとバタバタと教室から人が散っていく。
    僕も図書室に行くため席を立とうとすると、目の前に立ちはだかる人。

    「芍沢、ごめん!掃除当番変わってくんね?実は母ちゃんが体調崩したらしくて、早く帰って手伝えって言われててさ…」
    「……君のお母さん、身体弱いんだもんね。わかった。僕が代わりにやっておくよ」
    「まぁじ助かる!今度芍沢出られない時はオレ出るから!じゃあな〜」

    …ー掃除代わってもらえた!遊び行こうぜ〜
    …ーお前の母ちゃんピンピンじゃん。お前、主演男優賞狙えんじゃね?

    少し離れたところから聞こえるそんなふざけた会話を聞こえないフリをして、今日もいつもと同じように押し付けられた掃除当番をこなす。

    掃除自体は嫌いではないので、あまり苦には思わない。
    僕が綺麗にした場所で、あなたが笑ってくれるなら僕は毎日だって掃除をする。

    「…っ」

    机を後ろに片付けるときに、そっと指で机をなぞる。
    この机であなたは勉強して、ご飯を食べている。
    伝わる熱は無機質なものだったけど、なんとなくあなたの生活が身体に染み入るようだ。

    「芍沢くん、お疲れ様」 1076

    Tonya

    MOURNINGお題「泣くくらいなら、笑ってやる」
    流ロク 双葉ツカサ、ヒカル
    公園を駆け回っていた幼児がこてんと前のめりに倒れ、ワッと泣き出した。母親らしい女性が慌てた様子で駆け寄っていく。
     ありきたりな光景。甲高い泣き声に注意を向けていた周囲の人々も、事態を把握するとすぐ各々の行動に戻っていく。一人、ベンチに腰かけている少年を除いて。
    『……うるせぇな』
    「あ、ヒカル。起きたんだ」
     頭の中だけで行われる特殊なコミュニケーション。あるいは自問自答。
    「大丈夫かな。派手に転んだみたいだけど」
     顔面をぶつけたらしく、幼児の小さな鼻が赤くなっていた。
    『あんなの本気じゃねえよ』
     気を引くためだ。何を、とはあえて言わない片割れの言葉にツカサは首肯する。たしかに母親に抱き起こされると、幼児はすぐ涙を引っ込めた。
    「きっとそれは……いいことだよ」
     つまずき倒れたとき、手を差し伸べてくれる人がいるのはきっと幸せなこと。ほら、あの子供だってもう笑顔になっている。
     じゃあ、もしそんな相手がいなかったら。
    『ケッ、くだらねえ』
     疑問を浮かべるのと同時にヒカルが吐き捨てる。
    『他人の手を貸りなきゃ立てねえなんざ、雑魚の証みたいなものだろうが』
    「どうだろう。でも、うん… 728

    yokko_odakura

    PAST穣さんとつかさの日常風景
    絵ではないけど前に書いたやつ
    表から車の音が聞こえる。
    穣さんにしては帰りが早いから、何か荷物でも届いたのかな。最近はこんな田舎で近くにお店がなくても、なんでも通販で買えるから便利な時代になったなあと思う。
    俺は人の多いところが苦手で滅多に買い物には着いて行かないから、穣さんに頼むか通販で買うかのどちらかが多い。
    庭、という名のほぼ畑から道路の方に回って、誰が来たのかを確かめに行く。
    あれ、郵便とかの配達じゃなくて、普通の車だ。しかも県外ナンバーなんて、珍しい。
    車からはスーツ姿の男の人が降りてくる。
    スーツの人も、久しぶりに見た。見た感じ、穣さんよりも少し年下くらい?
    どうしよう、誰かが来るなんて予定は聞いていないし、今日の帰りは夕方くらいになるかもって言っていたから、まだしばらく帰ってこないんだけどな。
    この家の住所はごく近しい人にしか教えていないらしいので、変な人が訪ねてきたというのではないと思う。
    もし穣さんに用があるなら、時間が大丈夫そうなら上がってもらって、帰るまで待っていて貰えばいいか。県外からじゃ、また来るのも大変だろうし。その間に昔の穣さんの話とか、聞けたりしないかな。聞けたら嬉しいな……。
    どっ 2892