ニーサン
わかめごはん
DONEお題「お前に言ってなかったことがある」中の人のイメージから、勝手に歌が上手なダニーさんのお話。金曜の夜、二人の酔いも深まったマクギャレット邸で、なんとなく見ていた退屈なアクション映画は、エンドテロップが流れるばかりになっていた。カウチに沈んだダニーは、自分の隣に陣取るスティーヴを見る。その腕はカウチの背もたれの上に伸ばされていて、ダニーの肩には落ちてきていない。
「なぁ」
「ん? そろそろ寝るか? 泊まるだろ」
カウチに寝るダニーのためにブランケットを取ろうと、立ち上がったスティーヴの手をダニーが掴んだ。
「ギター」
「なに?」
「俺がやったギター。持ってこいよ。演奏会しよう」
「え……今から?」
「あぁ。嫌とは言わせないぞ、俺がやったんだからな。弾いてるか? あれ」
「あ、いや……うん。実は、たまに」
「一人で?」
「だって、聞かせるやつもいないし」
「ここにいるだろ。早く持ってこい」
スティーヴはわずかに逡巡しながらも、二階の自室からギターケースを持って降りてきた。
テーブルに置いて、観念したように勢いよく蓋を開ける。手にすると、わずかなチューニングで良い音が鳴った。まめに弾いているようだ。
「何が弾ける?」
「メジャーな曲なら。コード鳴らすだけでよければ」
「そうだな。… 1168