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    ブス

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    DONE喧嘩したビリグレが深夜ドライブする話
    (ビリグレワンライ【ドライブ】)
    naked くぐもった音を合図に前方の景色が開かれたのを見て、ビリーは雨が降り出したのだと悟った。車窓に流れゆく景色は変わらず、等間隔で背の高い街灯をうつし出している。きれいに舗装された広い道には人はおろか他の車だって見当たらない。眠らない街・ニューミリオンでもさすがに深夜のハイウェイは閑散としていた。
    「もうそろそろブルーノースに入るヨ。サービスエリアがあるけど寄る?」
    「……まだいいかな」
     ビリーは僅かに眉を上げ、スマートフォンの灯りを消した。それならばしばらくナビゲーションの必要は無い。出る幕なしだ。口を閉ざしてしまえば、そこに残ったのは息が詰まるほどの静寂だった。タイヤがアスファルトを削る低音を背後に、フロントガラスに降り注ぐ霧雨を拭うワイパーの間抜けな音だけが続く。彼の実家の車とは違ってエリオス社貸し出しの車のシートは硬く、けれどそれよりも遥かにぶっきらぼうな返事の方が固かった。ビリーくんは大丈夫? トイレとか平気? 普段ならかけられるであろう言葉もかけられないほど、今のふたりの間には薄く張り詰めた氷のようななにかがあった。
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