Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    ベテラン

    かいこう

    DONEベテラン/花流
    かわいそうなりょーちゃんとバカップルの片割れるかわくん
    花流の日まで後11日~
    ベテラン 他には誰もいないチームのトレーニングルームの片隅で、流川と話し込んでいた男が立ち上がった。その若手は怪我でしばらくチームから離れなければならず、気持ちが荒んでいたようだが、憧れでありチームメイトでもある流川との面談で、感情が落ち着いたらしく、穏やかな顔つきで目元を拭っている。トレーニングルームの入り口で、流川に向かってひとつ頭を下げた彼が、こっちに近づいてくるのに、出入り口に立っていた宮城は片手を上げた。出て行く前に、流川と話すようアドバイスしたことへのお礼を言われる。大したことはしてない、チームメイト全員が復帰を待ってる、焦らずに治療に取り組んでくれ、と伝えて見送った。病院から検査結果を伝えに来た時は沈んでいた目の色に活気が戻り、明るく潤んでいる。口元も頬も溌剌としていた。どんな理由であれ、バスケットをやりたい人間がバスケットができない状態に陥るというのは、辛い。どうか乗り越えてチームに戻ってきてほしい…背中が見えなくなるまで、祈るような気持ちで見つめてから、流川の元へと赴いた。
    1634

    numata

    DOODLE楽団のモブ視点のトル団。トが楽団に入るまでの両片思い話。モブは見守り系ではなく、がっつり二人に関わってきます。序盤の感じが最後まで続きます。団長がちょっとやんちゃかもしれない
    (モブの要素→楽団のベテラン/既婚者子持ち/ノリが適当/世話焼き/団長の友人)
    【トル団】ある弦奏家の言うことには 俺はしがないバイオリン弾きだ。ある町の楽団でそれなりに活躍して、それなりに楽しく、またそれなりにつまらない生活を送っている。
     ところが、平凡な人生の中にも、流れ星みたいにきらっとして、でもちょっとやっかいな出来事というのは降ってくるものだ。
     これから話すものが面白いかどうかは人によると思うが、例のピアノ弾きにまつわる話だと言ったなら、少しは興味もそそられてくれようか。



    (人形みたいな奴だ)
     オーディション会場にあいつが入ってきた時、俺が最初に思ったのがこうだった。ちょっと癖のある金髪、不安そうに伏せた睫毛も金色。ガチガチに緊張した表情は、その柔らかそうな童顔をむしろ無機物っぽく見せている。
     長机に着いている団員らの方も見ずに部屋の真ん中まで進み出たそいつは、ぺこん、とぎこちなく一礼をした。粗末なシャツから、痩せた鎖骨が覗いている。果たして音楽をやる余裕があるほど食えてるのか? 思わず隣に座る団員と顔を見合わせた。
    14675

    makoura_mt

    PROGRESSこっそりこそこそ 無配にしたいなーー……
    新人俳優×ベテラン俳優
    もしも、ドラマだったら?
    作成:R4年4月26日
    未定(更新4/27)bgm 雨は夜半に


    【口づけくらいさせてあげればよかったと後悔したよ】
    手の中でくしゃりと音を出す封筒を抱きしめたまま次第に目を閉じていく。閉じた視界に映るのは永遠に続くかのような黒。そこに思い浮かべるべき人間は、いない。詰めていた息を吐き、閉じた視界を段々と開けていく。光が差し込むのに一瞬目を細めたが、完全に目を開けば真っ白な壁と俺を映す鏡があった。俺の顔には何の感情も浮かんでいない。愛する人が死を遂げ、愛の証を手にしても塩の水すら流れそうもなかった。
    「…恋か」
    何度目かの呟きと共に、俺はシミ一つない天井を仰ぎ見るのだった。

    ––愛は劇中–– 


    子供の頃から演技をしていると、不思議な感覚に浸るようになる。それはきっと誰でも一度は思うことだろう。自分は一体何者なのかと。あるときは、天涯孤独の子供、家族に愛された子供。成長すれば、不良になったり、頭のいい生徒会長になったり。刑事だったり、犯罪者だったり。そうするとだ、自分は一体どこにいるのか分からなくなる。今までこなしてきた役であって、役でない。俺という人間はなんなのだろうと。役を通して世間を知ってきた俺に今、立ちはだかる壁が、恋愛だ。与えられた役になりきり、自分の立場で考えた時にでてくる演技は想像でしかないが、想像でも十分様になっていた。しかし、恋愛というものをしたことのない俺は、彼の考えることが表現できない。ましや、男同士だ。今まで誰かを愛する役をしてこなかったつけが、こんな高いレベルで回ってくるなんて思わないだろう。そう思った時、俺と言う人間がとてもつまらないように思えた。役でしか生きていけない空っぽな俺が少しでも中身を保てるようにと、彼を、理解しようとしている。
    1652